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act.4哀婉ドール<111>

「悪かった。可愛くて止まらなかったんだ。許してくれ」 ベッドの上で小さく体育座りをする葵を抱き締め、髪を撫で、今度はきちんと謝罪を口にした。 「くすぐったいって、言ったのに」 口調まで子供っぽく拗ねたもの。それすら忍を煽るのだと告げれば本格的に怒られてしまうだろうか。 忍からプイと目を逸し、布団に潜ろうとする仕草も、珍しく反抗的でまた魅了されてしまう。そうしてツンとされると強引にでも押し倒してもっと深い快楽で屈服させたい欲が生まれてくるのだから逆効果だ。 「葵、そのまま眠るつもりか?治まっていないだろう?」 忍自身も葵を追うように布団を被り、背中から葵を抱き締めて問いかける。 「脚を可愛がっただけで布越しでも分かるくらい膨らませて。そう簡単には落ち着かないように見えたが?」 指摘するようにウエストに回した腕を少しだけ下に下ろせば、また葵は拒むように首を振ってみせた。 でも小さく返ってきた言葉は葵らしいもの。 「会長さんと、おしゃべり、したかったのに」 「しているだろう?今」 「そうじゃ、なくて……もっとちゃんと、色んなことをお話したかったんです」 こんな風に苛められるなんて不本意だと葵は訴えてきた。 「なら今から話そう。それで機嫌は直るのか?」 葵の望みを叶えてやることを約束すると、葵は少しだけ悩む素振りをみせたが、くるりと忍のほうに向き直ってくれる。その頬はまだ少し火照っている。 ゆっくり会話を楽しむために葵の首下に腕を挟み込んで枕代わりにしてやれば、葵は素直に身を寄せてくれる。 「あの……ごめんなさい。わがまま、でした」 目が合うなり気まずそうに謝ってきた葵に拍子抜けしてしまう。人に怒る感情を持続することが出来ないのだろう。圧倒的に忍が悪いというのに、気遣わしげな視線を投げてくる。 「それなら、触らせてくれるのか?」 「……んッ、だ、め」 空いた手でパジャマの裾をめくり上げれば、葵が慌てて忍の腕を掴んできた。ちっとも反省していない忍を見る目はさっき以上に厳しい。 「触りながら話せばお互いの望みが叶えられるだろう。何も悪い提案をしているわけじゃない。ここが苦しいはずだと思って言ってやっているのに」 葵の抵抗を物ともせずにしっとりとした内腿に手を滑らせながら、無茶苦茶な理論をさも当然のことのように葵に言って聞かせる。 ぎゅっと忍の胸に頬をすり寄せてきた葵はやはり恨めしそうな顔をしていた。

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