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act.4哀婉ドール<149>

「別にいいよ。お前がココにいるだけ。それでいい」 指を絡めるような繋ぎ方に変えながら、京介はそんなことを言ってくれる。葵の思うような答えではなかったけれど、胸が満たされるのはなぜだろう。そして、不意に京介と触れたい、そんな気持ちが湧いてくる。 「京ちゃん」 「なに、納得いかねぇ?」 「……ううん、違くて。その……」 自分から言い出しにくい。寝起きで半ばパニックになりながらねだることはあっても、起きている時には京介から強引に触れられる。でも自分からももう少し歩み寄ってみたい。そう思えてくるから不思議だ。 「おまじない、したい」 声が少し震えた。京介がどんな顔をするのか見るのも怖くて、つい伏し目がちにもなる。 「なんで?夢、見てねぇだろ?」 やはり京介からは”おまじない”の意味を尋ねられた。自分でも何故求めたのかが分からない。だから上手く説明することが出来なかった。 けれど、京介から手が離されたかと思えば、今まで顔に差していたランプの光が陰ったのが分かる。驚いて目を開けば、起き上がった京介がすぐ近くに顔を寄せていた。 「……あの」 瞳の奥に熱を感じて思わず身を引きたくなってしまうが、もう一度腕を取られ、そして口付けが落とされた。初めはただ触れるだけで離れたけれど、すぐに舌が潜り込んでくる。 斜め上から落とされるキスをどう受け止めたら良いか分からなくて、葵はただ、彼の手に力を込めることしかできない。 舌を吸われ、甘く噛まれる度に溢れる濡れた音と吐息が、どうか都古に聞こえないように。そんなことを考えながら、葵は唇から伝わる熱が腰に溜まっていく感覚に震える。 「……葵、寝れそう?」 しばらく唇を合わせた後、ゆっくりと距離が離され確かめられる。触れたいという気持ちは満たされた。けれど、また違う意味で眠れなくなりそうだ。淡い疼きが体を侵食していく。 でもそれを打ち明けようと口を開いた時、不意に思わぬ方向から腕が伸びてきた。 「アオ、だめ」 「んっ…みゃーちゃん?」 京介からガードするように青白く筋張った手が葵の唇を覆う。強い力ではなくすぐに解かれるが、葵を脅かすには十分だった。

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