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act.5三日月サプリ<31>*
「っていうか、ぶっちゃけ葵先輩って誰とどこまでしてるんですか?」
「あぁ、それ気になるね。どうなんすか?」
入学早々葵にまつわる噂は沢山耳にした。本人が純朴なのは一ヶ月の付き合いの中でも思い知っているが、周りがそれを放っておくようにはどうしても見えない。こうして櫻が手を出している証拠も見つかったばかり。
「ほっぺや唇へのチューは皆としてるでしょ?」
爽が言葉で示しながら柔らかな頬や唇を指先で突く。すると葵からは素直に頷きが返ってきた。恥ずかしい気持ちはあるが、やはりキス自体への概念は大分緩く教え込まれているらしい。
「それ以外の場所にされることは?」
「……それ以外?」
「例えば……ここ」
正面から近づく聖が葵の首筋に吸い付き始めた。チュッと軽い音は立てたものの、白い肌に痕が残らないよう加減はしているようだ。
「んッ、そこ、も」
爽も後ろから髪を器用に払って筋の浮かぶ首に舌を這わせる。腕の中の体がただそれだけの刺激でぴくりと跳ねるのが堪らない。
「されてるんですね。じゃあ葵先輩の体でチューされてないとこ探すゲームしましょうか?」
「そんなゲーム、やだ。おかしいよ」
聖の不埒な提案は当然のように葵に拒まれる。
「ってことは簡単には見つからないくらい、体中にされてるんすか?」
裏を返せばそういうことになる。爽に図星を突かれて葵は湧き上がる恥ずかしさを堪えるように唇を噛んで押し黙ってしまった。それを了承と捉え、聖が再びずり落ちかけたカットソーに手を掛ける。爽も合わせるように葵の顔を自分へと向けた。
「俺達が見つけたらちゃんと”アタリ”って教えてくださいね」
「当たったらちゃんとご褒美ください」
「ね、ダメ、ってば……」
聖が胸元にキスを繰り返し始めたのを見て、爽も火照る葵の頬や耳たぶに舌を這わせていく。椅子の背もたれとの隙間に手を差し込んで葵の服を背中側からも捲り上げる手伝いをするのも忘れない。
「んッ…うぅ、ん……あ」
するすると指先で薄い肌に浮かぶ背骨をなぞると、その指から逃げるように背が反るが、そうすると胸を聖に押し付けることになる。待ち構えていた聖がぱくりと突起を口に含むのが爽からも見えた。
途端に葵の声のトーンが一段上がる。どうやらそこが随分と弱いらしい。葵から”アタリ”と言われないのだからそこはもちろん弄られているはず。でも爽も桃色に色づくその場所に唇を落としたくて仕方なくなってしまう。”ゲーム”なんてただの口実に過ぎないのだ。
「爽、くん…だ、め……やッ」
体の位置を変え、聖に並んで爽が屈み込めば、何をするつもりなのか葵にも察しがついたらしい。緩やかに爽の髪に指を絡めて押し返そうとしてくるが、その前にぺろりと舐めあげるとふにゃりと力が抜けてしまう。
「ここ、二人から弄られるのは初めて?」
軽く歯を立てて甘噛みしながら問いかける聖はやはり少し意地が悪いのかもしれない。そして葵から肯定の頷きが返ってきて喜ぶ自分も同じく。
「じゃあ一人相手じゃ満足出来ないようにしてあげなくちゃ。ね、爽」
「だね。二人がかりでされなきゃ物足りないぐらいに、いっぱい教えてあげますね」
まだ終わらない、それを悟って葵の瞳にじわりと涙が滲むのが見えた。
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