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act.5三日月サプリ<33>*

「本当に全部?」 「隅から隅まで?」 言葉にするのも耐えられなくて葵は二人の問い掛けに頷きで答える。すると当然のように誰にされているのか、それを尋ねられた。だから葵はその犯人の名前だけを告げる。 葵の飼っている猫は”甘え”とか”マーキング”とか、そんな理由を付けては全身舐めてくる。そのおかげでうなじや、くるぶしまでキスを落とされただけで体がびくつくようになってしまった。 「だからもう終わりにして」 「「やだ」」 二人がゲームを続ける理由が無いと教えたのに、二人はちっとも納得してくれない。それどころか都古への闘争心に火を付けてしまったようだ。 「月島先輩にキスマーク付けられて、烏山先輩に全身舐められて。で、他には?」 「……他って?」 「例えば西名先輩とか。どんな風に遊んでるんですか?ココとかされてるんでしょ?」 聖がそう言って指先で突くのはデニムのチャック部分。下着越しではあるが熱を持ち始めていた箇所に金属の固い感触が押し付けられて堪らない。聖の指を拒むように慌てて体を丸めようとするが、背中に回った爽に抱きすくめられて上半身を動かせなくなってしまう。 「されてること、全部教えてくれたら終わりにしますから。ね、葵先輩」 なだめるように爽が後ろから耳をかじって抱く腕に力を込めてくる。聖がデニムを脱がそうとさえしていなければ安堵出来るのだが、このまま身を委ねてしまったらダメだといくら葵でも学習し始めていた。 「あぁ……、んっ、あ、ヤ……」 「聖のほう見なくていいっすよ。こっち集中しましょうね」 聖がチャックを下ろしたのを見計らって爽が葵の体から力を抜かせるように、さっきたっぷりと苛め抜いた胸を今度は指で摘んでくる。 「噛まれちゃんたんすね。右より赤くなってる。色、揃えなきゃおかしいっすよね」 聖が歯を立てていたほうの突起を慈しむように撫でられる。そして反対側は摘み上げ指先を擦るように捏ねてきた。同じように真っ赤に染まらせる気らしい。 「ちょ、葵先輩危ない。暴れちゃダメだってば」 「ん、ごめ……だって」 胸への刺激から逃げるように脚をバタつかせれば、足元でデニムを引き下ろしていた聖から叱られてしまった。聖を蹴ってしまう所だったのだから素直に謝ったのだが、そもそも葵のせいなのだろうか。分からなくてまた、涙が零れてくる。 爽に弄られる度に腰が跳ね、そうすると器用に聖がデニムの位置を下にずらしていく。決して乱暴に肌を暴くわけではなく、連携してゆっくりと進められると嫌だと抵抗するほうが我儘だと思わされる。

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