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act.5三日月サプリ<34>*

「あぁこっちも吸われてる」 「ホントだ。ってことはもう遠慮しなくていいってこと?」 膝下までおろされたせいで内腿に浮かぶ痕も見つかってしまった。脚を閉じようとしても聖がしっかりと押さえているせいで叶わない。 「ほんとに、終わりにして……んッ」 聖が足首からデニムを抜いてしまいそうになるのを止めに入るが、爽が抱え込んだ腕でまた優しく胸を弄ってきて、苦情を飲み込むようにキスを落としてくる。 「あッ……ん、も……ぅ…」 唇の重ね方を変えられる度に何とか”ムリ”だと告げようとするが、ちっとも上手くいかない。せめて爽の腕から逃げるようにもがけば、ずるずると椅子から腰が落ちていく。 「葵先輩、今めちゃくちゃやらしい格好してるの分かってます?これで止めろなんて無茶言わないで」 聖の声がぼんやりとした頭に響く。デニムを脱がされる時に一緒にスニーカーも脱がされ、今自分が下半身に下着と靴下しか身に着けていない自覚はあった。そして聖に両脚を抱えられて左右の肘掛けに乗せられてしまっていることもわかっている。 そんな状態で腰を揺らせば、真正面に座る聖に恥ずかしい場所を突き出すような仕草だということもうっすらと視界に映っていて理解している。けれど、爽がキスの合間も絶え間なく胸の突起を弾いたり、押し潰したり、摘んだり、好き勝手に弄んでくるのだ。 「で、西名先輩とはココ、してるんでしたっけ?」 「あぁ…ッ……だ、め」 「可愛い、またぴくぴくした」 どろどろにのぼせた状態の葵に手加減してくれる気はないらしい。聖は内腿に掛けた手で柔らかな肌を揉み込むように動かしながら、下着の合せ目にそっとキスを落としてくる。 下着越しに舌を這わされただけで痛いくらいに張り詰めていくのがわかる。こうなってしまってはもう簡単には熱が収まらないことも学んでいた。 「泣かないで、葵先輩。意地悪したいわけじゃないんですよ。ただ誰とどんなことしてるのか知りたいだけ」 「葵先輩が本当に全部の場所に触られてるのか教えてほしいんです。葵先輩にとっての”初めて”が欲しい」 可愛い後輩にはしたない姿を晒している。それが悲しくて涙を零せば、同じ顔、同じ声音で葵を宥めてきた。なぜ二人がそうまでして葵の肌に触れたがるのか、ちっとも理解出来ない。 “好きだから触れたい”、それが自然な感情なのだと忍には教えられたけれど、葵は手を繋いだり、頭を撫でたり、抱き合ったりするだけで十分心が満たされる。でも自分ですらまともに触れない場所に触れられるとどうしていいか分からない。

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