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act.5三日月サプリ<35>*

「西名先輩にはいつも手で弄られます?それとも口?」 答えなければ解放してもらえない。そうは思うが、京介との”おまじない”は秘密にしろと散々言い聞かされてきた。そうしないと効力がなくなるから、と。だから聖の問い掛けに首を横に振って嘘をつけば、また彼の目が細められた。 「んーなんだろな。優しくしてあげたいのに、そんな顔されると泣かせたくなっちゃう」 「あ、せぇ、くんッ……や、だぁ……あッ、あッ」 泣かせたい、そう言いながら聖は下着の上から葵の形をなぞるように唇でやわやわと啄む動作を始めた。グレーの下着は濡れるとその痕が目立つ。たっぷりと唾液を含ませながら吸い付いてくるおかげで、ぴったりと張り付く布は葵の存在をくっきりと主張させている。 恥ずかしさと共に、ようやく熱の籠る場所に触れられて体が期待に跳ねるのに驚かされる。いつから自分はこうなってしまったのだろう。 「聖はサドだよ、絶対。俺のほうが優しいよね、葵先輩?」 「あ……、んッ」 爽からの刺激は確かに痛みは感じない。けれど、執拗に胸を撫で首筋を舐めあげ、耳たぶを甘噛みされると、それだけで泣きそうな程体が切なくなってしまう。 「じゃあ質問変えますね。葵先輩から誰かにシてあげたことはあります?」 「それって手コキとか?フェラとか?」 「そうそう。イメージ湧かないけど、気になるでしょ?」 聖の新たな質問に、爽が耳慣れない単語を口にした。喋る度に聖の吐息が内腿と濡れた下着に掛かり、それだけでぞくぞくと葵の背筋を震わせる。 「……あぁ、わかんないって顔してる。ってことは未経験?」 「葵先輩のこと可愛がるだけで終わり?苦行すぎない?」 葵が答えなくても二人は表情で読み取ったらしい。でも二人共納得のいかない顔をしていた。 「皆にお返ししてほしいってお願いされたことないんですか?」 「シてあげたいって思ったことはない?」 葵のために少し噛み砕いて言い直してくる。例えば爽が今するように首筋や耳にキスをしたり、聖のように下着の上から啄むような仕草をしたり。そんなことを誰かにしたことはない。 “おまじない”やハグをねだったことならあるけれど、多分そういうことではないのだろう。 与えられるばかりで確かに自分から積極的に触れたことはない。でも本当に好意を示すものならば、葵からもするのが筋なのだろうか。

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