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act.5三日月サプリ<41>*
「手伝えます?」
「……ん」
聖からの誘いにも頷いて手を差し出すことが出来た。聖に掴まれた手の行き先はさっきしっかりと教え込まされたから分かる。やはり葵と聖、二人の勃ちあがったものを握らされた。
直接互いの性器を触れ合わせる恥ずかしさにはまだ慣れないが、ただ自分だけが追い立てられるよりは安心感がある。共に心地よくなるのが”好き”の行為らしいとも思えてきた。
一度達したからか、過敏になっているとはいえ、聖のものと共に握られても今度は一人だけ随分と早く絶頂を迎えることは無かった。
けれど、聖と共に白濁を吐き出す頃にはもう指一本動かすことが出来ない程体がだるさを訴えていた。二人掛かりで体を弄られたこともなければ、二度続けざまに射精させられた経験すらほとんどなかったのだ。
満足げに甲斐甲斐しく着替えの世話をしてくれる双子の手を拒みたかったけれど、自分で出来ると言えるほどの元気が今の葵には無い。濡れた下着だけはどうにもならなくて、事務所にあったブランドの新品をありがたく頂くことにしたが、それを履くことすら二人の手を借りてしまった。
「葵先輩、怒ってます?」
「さすがに色々しすぎたかな、一気に」
綺麗に後処理をされたソファに丸まって、彼等が渡してくれたオレンジジュースを口に含んでいると、心配そうに両側から顔を覗き込まれてしまう。
「……怒ってない、けど……も、ダメ、だから」
乾いた喉がようやく水分を補給出来て喜んでいる。でも絞り出した声は浮かない。どうせこう言っても彼等はまたシたいと言い出してくるのは読めていたのだ。そしてそれを拒みきれない自分の性格も。
「分かってます、次はちゃんとベッドでしましょうね」
「ソファの上じゃ辛かったですよね」
「そうじゃなくて!」
わざと葵の言葉の意味を取り違えてくるあたり、彼等は本当に小狡い。案の定葵が顔を上げれば、彼等はおかしそうにくすくす笑ってくるのだ。
「次は終わったら三人でお風呂入りましょうね」
「二人でいっぱい洗ってあげます」
「……やだ、もう」
ただ洗うだけで済まないことも予感させられる。くらくらと目眩がするのを堪えきれずに目を伏せれば、双子からは愛情たっぷりに頬にキスを落とされる。
「最高の誕生日でした」
「葵先輩のおかげですよ」
葵の知っている誕生日の過ごし方とは随分違うし、言いたいことが山ほどある。でも有澄から聞かされた二人の話を思い出せば、今は二人を抱き締めてやるのが正解なのかもしれない。
「……今日だけ、だから」
今日は特別に許してあげよう。そう告げれば、彼等の顔が嬉しそうに綻んだ。
面倒を見ると有澄に約束してしまった手前、彼等のこうした我儘にも付き合ってやらねばならないのだろうか。それとも、皆がしたがる行為を恥ずかしがる葵がおかしいのか。
誰に尋ねれば答えが出るのか分からない。
葵は双子にきつく抱き締められながら、新たな悩みの種を芽生えさせて人知れずため息をついたのだった。
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