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act.5三日月サプリ<74>*
「葵、おいで」
一度きつく舌を吸って誘えば、葵は恐る恐る京介の首に腕を回してくる。いつもとは違う、そのぐらい察しているようだがやはり京介のことを拒みきれないらしい。
嫌われたくない、そんな気持ちが葵の根本にあることも分かっている。そんな葵を騙して、引き込んでいく。罪悪感を覚えないといえば嘘になるが、それよりも他に奪われたくない気持ちが勝る。
「俺にしとけ。絶対に後悔させないって約束するから」
「ん……ぅ、っ、あぁ」
誓うように唇を食んで、もう一度柔らかな双丘の狭間に指を突き入れる。熱い粘膜を指の腹で少しずつ擦りながら根元までしっかりと咥えさせると、葵からはより強く抱きつかれた。
「きょ、ちゃん……くるし」
「痛くはない?」
「んッ、でも……なん、で」
涙の滲む目元を京介の肩に押し付けて訴えてくる葵は、やはりこの行為の理由を知りたがる。
「おまじない?」
体に触れる口実として言い聞かせてきたことを未だに信じている。
「そうだって言ったら?何してもいい?」
我ながら無茶苦茶な言い分だ。抱きたいと、そればかりが脳内を蝕んでヤケになっているのかもしれない。でも葵はどこまでも純粋に京介を受け入れようとしてくる。
「きょ、ちゃんは?」
「ん?何?」
「おまじない……いらない?」
濡れた蜂蜜色の瞳で見上げてくる葵は、こんな状況で京介を気遣ってくる。疑ったり、恨んだりはしない。それどころか自分ばかりがおまじないの恩恵を受けることが気になるらしい。
「お前さ、いい加減にしろよ。どんだけ煽ったら気が済むんだよ」
どれだけキスしても足りない。早く早くこの無垢な存在を自分の色で穢してしまいたい。
「んっ……、あぁ……っんん」
今まではただ葵を驚かせないように静かに粘膜を擦るだけにとどめていた指の抜き差しを速め、上がる声を己の唇で飲み込んでやる。
もっと淫らに落としたい。誰もまだ見ていない顔を、自分だけに向けさせたい。そんな独占欲が溢れ、京介はもう片方の手でおざなりにしたままだった性器を摘んだ。
快感を覚えるにはまだ早い後孔も、前への刺激が加われば堪らないものになるらしい。
「は、ぁんん……ッ」
小指をぎりぎりまで引き抜き、根元まで一気に突き入れる。ひくつく鈴口を嬲りながらも蕾を散らせば、葵からはくぐもった嬌声が上がった。
ここに自分のものを突き入れたらどれだけ気持ちが良いだろう。扱く度に後ろもきゅっと窄まり柔らかな襞が指を包み込む。それだけで抱いた時の想像が膨らんで堪らない。
でもまだ小指だけで精一杯のこの場所をもっと念入りにほぐす必要があるのは分かるし、長風呂を心配した兄がやって来かねないここでこれ以上の行為は危険だ。
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