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act.5三日月サプリ<77>*

「……葵」 冷たい水を飲んで少し表情が冴えてきた葵をゆっくりとベッドに押し倒す。ただ羽織るだけだったパジャマの上着がひらりとめくれて白い半身が晒された。 「ヤッ、あぁ……んっ」 さっきは指だけで苛めた胸の突起へと性急に唇を落とせば、葵からは高い声が上がる。同時に京介の髪を掴んで離そうとしてくるが、ずっとこうして吸い付きたかったのだから無視するしかない。 「いやッ、は……あぁっ」 ぷくりと赤く腫れる突起はあの入浴剤のせいか、甘ったるい匂いがして京介を誘う。右胸を舌で弾き周囲の肌ごと吸うと、ベッドに沈んでいた背中が大きく跳ねる。 「あっ、あっ…きょ、ちゃ」 「こっちもな」 寂しそうに震える左にもしっかりと舌を這わせるとまた一段と葵の声が艶めいた。そうして胸に意識を集中させているうちに、ゆっくりとパジャマのズボンを引き下ろしていく。 さした抵抗もなくするすると落ちていく布に、これが自分相手以外でも同じように身を委ねるのかと思うと理不尽な怒りが湧いてきてしまう。 「葵、ちょっと我慢しろよ」 「な……つめたッ、あっ……」 ボトルを開きぬるついた液体を掬った指を向かわせる先は決まっている。さっき小指で弄っていたそこはまだ入口は柔らかく解れている。閉じかけた葵の片脚を抱え、その奥に入れるのは小指よりもずっと太い人差し指。 「ふぁぁっ、あっ、あっ……」 「力抜けって。いい子だから、な?」 勝手な言い分だけれど葵のためだ。イヤイヤと首を振って泣く葵を抱きしめてキスを落してやりながら、ゆっくりと指を押し進める。 「…ッ、いつもの、で、イイ」 「いつもの?あぁおまじない?」 くちゅりと指を優しく抜き差ししながら震える葵の声を拾ってやると頷きが返ってくる。やはりまだおまじないの延長だと思っているらしい。 これはそんな子供じみた行為じゃない。そう教えるべきだ。そう訴えてくる自分もいるが、騙したままでもいい。ずるくても構わないから早く抱きたいという欲が強くて押し殺せそうもなかった。

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