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act.6影踏スクランブル<53>*

「…はずかし、よ…京ちゃん」 「今更何言ってんだよ」 先に進みやすいよう葵の両膝を胸に付くぐらい押し上げると、葵は自分の顔を隠してしまう。京介は葵の裸など見慣れているけれど、葵からすれば双丘の狭間まで明るい室内に晒すのは耐え難いのだろう。 「んっ……んぁっ」 いきなり目的の場所に唇を落とすのではなく、柔らかな内腿からゆっくりと唇の位置を登らせていく。その度に葵が自分で押さえた口元から控えめな吐息が溢れた。 段々と京介の唇がゴールへと近づくにつれて、慣れない行為を控えた緊張のせいか、葵の爪先にピンと力が入っていくのが視界の端に映る。京介の頭を挟む太腿もそれ以上の侵入を拒むように力が込められてしまう。 「葵、力抜いて」 葵如きの力を無理に割り開くのは簡単だ。だが京介はこの数日で後孔への愛撫そのものに慣れさせる気でいた。そのために根気よく言って聞かせなくてはならない。 「あぁ、ん……で、も……やぁ」 「ここも後でしてやるから。な?」 直に触れていないのにすっかり先端に蜜を滲ませた性器へ京介がそっとキスを落としてやれば、葵は焦れったそうに腰を揺らした。おまじないといえばここへのダイレクトな刺激だと覚え込ませたせいか、無自覚とはいえ物足りない顔をするのが堪らない。 「それとも葵、今日はもう終わりにする?それでいい?」 「あ、あ…んッ」 ちゅっちゅっと蜜を吸ってやる度に葵の性器がしっかりと勃ち上がっていく。その変化を視界に入れたくないとばかりに葵は自らの手で顔を隠すけれど、相反して京介が動きやすいように段々と内腿の力が緩んでいった。 「いい子」 褒めてやるとクンと小さく喉が鳴る音がした。葵はこうして褒められることにも滅法弱いのだ。 そうして葵が本当に京介へと身を委ねたのを見計らい、更に高く腰を上げさせていよいよ淡く色づく秘部へと唇を移動させた。とろりと透明の蜜が伝う幹から会陰を通り過ぎ、ようやく蕾へと到達する。 舌を潜り込ませようとしても、まだそこは先日京介の人差し指を飲み込んだとは思えないほど閉ざされていた。 「十日じゃ無理か?」 ローションを嫌がるのだから、こうして舌で濡らして解すしかない。そう思ったのだが、見立てが甘かったかも知れない。

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