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act.6影踏スクランブル<72>*

「藤沢ちゃんのおっぱい甘くて美味しそやな?塗る前に吸ったったら良かった」 女性の胸ならまだしも、男性相手には正直あまり興味を示さない箇所だったはず。だから自制のためにも悪戯の先をここにしたというのに、ジェルのおかげでいやらしく光る突起は何よりも魅力的に見えた。 「あ、あっ、吸っちゃ、だ、めぇ」 「指のほうが好きなん?」 「ちが…ん…だめ、なの」 キュッと摘んでぬるついた粘液を更に塗り込むように擦り付ければ、葵は息も絶え絶えにさらなる悪戯を拒んでみせた。だが、”吸う”という単語で葵が想像してしまったことを示すように、幸樹の腰を挟む脚が震えたことは気付いている。 「藤沢ちゃん、どないしよ。なんか新たな性癖の扉が開きそ」 性欲は人並み以上だという自覚はあったが、行為自体は淡白だったはずだ。やることを済ませてサクッと終わらせる。それが常だったのに、今は胸だけで乱れる葵をもっと苛めたくて仕方ない。 「片っぽだけチューさせてな」 「や、あっ…あぁ…!」 「かわええ、拭かれるのも気持ちーの?」 辛抱できなくなって自分のシャツの裾で右側の突起が纏ったジェルを拭えば、その乾いた布の刺激にすら葵は背中を弓なりに反らせてみせる。敏感だとは思っていたが、ここまでいやらしく化けるとは、期待以上だ。 「藤沢ちゃん、食べんで。見とき」 「ん、あ…だめ、せんぱっ、だめぇ」 葵の視線をこちらに向けた上で、ゆっくりと舌を出して胸へと下ろしていく。まだ触れていないというのに、葵から甘い吐息が漏れた。幸樹を止めるように短い金髪に指が通り引っ張られるけれど、力の抜けきった今の葵では逆に引き寄せるような仕草に見えてしまう。 「あ、あッ…いや、や、だぁ…!ん、んッ」 狙いやすいように摘んでいた乳首を摘み上げその粒を舌先で舐め上げれば、葵からは一際高い声が溢れ出た。仰け反った腰を支えながら、本格的に吸う動作を始めていく。もちろん、もう片方の乳首はジェル塗れのまま。クニクニと摘み、弾いてやるのも忘れない。 葵は身体をくねらせて幸樹の舌や指から逃げようとするけれど、その度に強く吸ってやり、爪を立てるとふにゃりと力が抜けてしまう。その繰り返しで、段々と幸樹にしがみついてくるようになった。 「エッチな色になってきたな。ほんまこれずっと吸ってられるわ」 白い肌でぽつんと目立つ乳首は弄る前の無垢な色とは違い、すっかり赤く染まって物欲しそうに硬く勃ち上がっている。

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