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act.6影踏スクランブル<75>*

片方はジェルに塗れ、もう片方は幸樹の唾液でたっぷりと濡らされた葵の乳首はどう見ても陵辱されたことを示しているし、散々泣かせたせいで目元もほんのりと赤く色付いている。これを見られたらまず間違いなく各方面から抹殺されるだろう。 証拠隠滅とばかりに濡れた身体を己のシャツで綺麗に拭いてやるものの、名残惜しくてもう一度可愛い突起を吸ってしまうのは許して欲しい。 「なんでこんなかわええおっぱいしてんの」 魅力的すぎる葵が悪い。そう責任転嫁してまだ硬く尖るそこをチュッと吸い上げる。そうすると葵は眠りながらも甘く息を吐き出した。それ以上弄るとまた止まらなくなりそうで、幸樹は慌てて自分を誘う部位を真白い体操着で隠してみせた。 「問題はこっちやな。脱ぐの嫌がるからこうなんねんで?」 葵を責めるのは間違っているが、それでも衣服を身に着けたまま絶頂を迎えてしまったことは咎めたい。でも幸樹はすぐに前言撤回したくなる。処理をしてやろうと、下着ごとハーフパンツを下ろして現れたのが壮絶にいやらしい光景だったのだ。 グレーの下着にツーっと糸を引くほど溢れた先走りと精液は、まだ子供のような性器もべったりと汚している。幸樹の愛撫でそれほど感じてくれたのかと思うと胸が熱くなる。 「ん……う、ん」 濡れた部分を拭うように舌を滑らせると、葵の内腿が拒むように閉じられてしまう。眠っている相手に更に悪戯するとセクハラどころではない。そのぐらいはわきまえていると自負する幸樹は、濡れきった下着を一度脱がせ、ハーフパンツだけを履かせ直してやった。 「濡れて気持ち悪いよりはノーパンのほうがええやろ」 幸樹の勝手な判断が果たして葵にとっても正しいものかは分からない。多分本人は目覚めた時に恥ずかしがるだろう。そして幸樹との行為を思い出して赤くなってくれたら尚良い。 「……こんな変態やったかな?」 ベンチに敷いた葵のジャージごと小さな身体を抱き上げながら、幸樹はいたってノーマルだと思っていた自分の性癖に自信がなくなってくる。それでも不思議と後悔はない。 本当はもっと真面目に謝罪して、仲直りするつもりだったのだけれど。 「両思いっちゅーのは分かったから、それでええか」 好きと言ってすがりついてくる葵の姿は、しばらく独り身でも楽しめそうなほど良いものだった。幸樹は思い出して口元を緩めながら、葵の身体を抱え直して温室を後にした。

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