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act.6影踏スクランブル<138>*

葵は一ノ瀬が足首の包帯を緩ませた瞬間に体を捻らせてみる。体は手首の拘束だけを残して台から滑り落ちてくれるが、想像以上に高い場所だった。ピンと張った包帯が手首をギリリと痛ませる。 「んんーッ」 「あぁコラ、危ないよ」 着地に失敗した体は一ノ瀬にあっさりと抱きとめられた。初めから一ノ瀬が居る側に降りようとしたこと自体が浅はかだったのだが、そうした判断が下せるほど冷静にはいられない。 「怪我しないように、ね」 葵を再び元いた場所に寝かせた一ノ瀬が見せてきたのは、黒革のベルトのようなものだった。それをどうするつもりなのか。拒絶を示すように唯一自由になる首を横に振るが、一ノ瀬はニコリと笑うだけ。 まずは包帯の上から葵の手首にそれらをはめてしまう。カチャリと響いた施錠の音が葵を絶望させる。同じデザインのベルトは足首にもはめられた。 「苦しいかな。我慢できる?」 聞いているくせに葵の答えなど必要とはしていないようだ。一ノ瀬は葵の足首にはめたベルトから伸びるチェーンを頭上へと括り付け、その長さを調節し始める。必然的に両膝を曲げ、腰が少し浮く体勢をとらされることになり、葵はますます涙を溢れさせた。 「やっぱり、葵くんはこういう格好が似合うね。肌が白いから黒がよく映える」 一体彼の目に葵はどう映っているのだろう。拘束されて不自由な体を揺らすたびに一ノ瀬は目を薄めてくる。 「葵くんを苛めたくはないんだよ。でも、いっぱい浮気した分と、さっき逃げようとした分のお仕置きはしないと。こういうのは初めが肝心だから。お仕置きが終わったら今度は沢山優しくしてあげるね」 暗闇に馴染んだ目に映るのは一ノ瀬のねっとりとした笑顔。彼が言っていることの半分も理解出来ない。葵が彼に何をしたのだろうか。ここまでされれば単に教師として葵に接しているのはないことぐらい分かるが、それでもどうしてこんな酷い仕打ちをされるのかは見当もつかない、 ────助けて、助けて、助けて。 頭に浮かぶ限りの大好きな人達を呼んでみるが、その声は届かない。 一ノ瀬は葵の抵抗をよそに、取り出したハサミで葵の下着まで剥ぎ取ろうとしてくる。刃物を肌に当てられてはジタバタと暴れることも出来ず、すぐに隠したい場所が空気に晒された。 「あぁ、すごく可愛い。このまま食べちゃいたい」 うっとりとした顔で一ノ瀬は葵の薄い腹に口付け、少しずつその唇を下部へとずらしてくる。やがて一ノ瀬は言葉通り、ぱくりと葵の性器を口に含んでみせた。

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