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act.6影踏スクランブル<144>*

「これ、飲ませてさしあげたらどうですか」 「なんで俺が」 「ご自分で世話をしないなら拾わないでください」 野良猫を連れ帰ってくるのが迷惑だと日頃から訴える徹は仕返しのつもりなのだろう。封の切られていないペットボトルをこちらに差し出すだけで何もしない。 どうやらここは備蓄用の倉庫のようだ。徹が漁ったダンボール以外にも周囲には似たような箱が山積みになっていた。人を閉じ込めておくにはうってつけの場所ではあるが、葵を監禁した人物はこうしたことに不慣れらしい。 若葉の手にぐったりと頭を預ける葵は脱水症状の一歩手前に見えた。これだけ泣いて喘いで汗をかかされていたら無理もないだろう。 とはいえ、丁寧に面倒を見てやるのは気が引ける。葵の両手と机とを繋ぐ鎖だけを外してやり、乱暴にペットボトルを握らせてみた。手首を束ねる手枷はそのままだが、飲むのには問題ないだろう。そう踏んでいたのだが、力が入らないのか、葵はすぐにボトルを手から取り落としてしまう。 キャップを外して再度手渡しても同じ。それどころか中身を若葉の腕にぶちまける失敗までしでかしてくる。 「……ごめ、なさい……ごめんなさい」 葵は若葉に怒られると思ったのかビクビクして若葉の濡れた腕に舌を這わせてきた。振動を続ける玩具に犯されながらも、必死にチロチロと舐めてくる仕草は若葉の加虐心を煽る。水だけでなく、先程ガラスで切った傷跡まで丁寧に唇を沿わせてくるところも堪らない。 「あーやっぱいいネ、お前」 もっと早くに遊んでおけば良かった。そう後悔するほど若葉のツボを的確に突いてくる。褒美のつもりで水を口移しで飲ませてやれば、それにも嬉しそうに喉を鳴らして甘えてくるのだ。 「おみ、ず…もっと」 相当喉が乾いていたらしい。シャツを掴んで見上げてくる葵の瞳には、若葉への畏怖は見当たらない。 徹に足枷も外させその体を抱き上げると思っていたよりも更に軽い。若葉から離れまいと必死にしがみついてくるが、その心地良さに若葉からもきつく抱き寄せてしまう。 水を与えるという名目でのキスを続けながら、腰周りを覆うシャツを手繰り寄せ、双丘の狭間に手を滑らせる。 「…ッあ、あぁ、ヤッ」 ローションだけでなく、葵が垂らした先走りでそこはぐちゃぐちゃに濡れそぼっている。だか葵はどんなに喘いでも達する気配はない。まさぐればしっかりと勃ち上がった性器の根元まで革のベルトで戒められていた。本当に趣味が悪い。でも外してはやらない。

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