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act.6影踏スクランブル<158>

「九夜の部屋、どこ!」 「都古、あいつは車で出てったって、つーかあいつじゃないかもって会長が」 「家は!?」 「だから話聞けって」 全くの無関係である寮監の青年の首をギリギリと絞め上げる都古を背後から羽交い締めにしてなんとか宥めようとするが、ちっとも話を聞こうとしない。 「殺す、九夜、殺す」 「わかったから、落ち着け」 恐らく今目の前に若葉が現れたら、本当に都古は殺しかねない。そのぐらい尋常ではない怒気を放っていて、押さえきれそうもなかった。 ようやく都古を寮監から引き離し、床に伏せさせることが出来たのは応援として幸樹と聖、爽が現れたおかげだった。さすがに四人掛かりで押さえ込めば、都古も抵抗のしようがない。 だが、それでも都古は諦めようとしなかった。唇を噛み締めて、怒りを剥き出しにしてくる。このままでは埒が明かない。一緒に都古を押さえている幸樹と目を合わせれば、彼も同じことを考えたようだ。 「すまんな、俺のことは恨んでええから」 幸樹は京介の代わりに自ら悪役を買って出てくれた。都古に頸動脈を強く絞める技を掛け、そして気絶させる。これでようやくピンと張り続けていたこの場の空気が落ち着いた。 都古の両肩を押さえていた双子もぐったりと脱力して荒い呼吸を整え始める。彼等も最後に葵と共に居た人物として、今回のことにひどく責任を感じているようだった。仕事の予定もキャンセルし、今までずっと生徒会と一緒に葵を探すために尽力してくれていた。 「とりあえずこいつ寝かせてくるわ」 「烏山先輩、大丈夫ですか?俺達が見てましょうか?」 「多分、こっち残っても出来ることないだろうし」 いつも小生意気な後輩のくせに、随分と愁傷な態度だ。それだけ葵が心配で、そして都古のことも心配してくれているのだろう。だが、葵の部屋にはまだ綾瀬と七瀬がいるはずだ。都古を何度か預けたことがある彼等のほうが、うまく対処が出来ると京介は思う。 「お前らも一旦戻りな。巻き込んで悪かったな」 「巻き込むなんて、そんな無関係みたいな言い方、やめてください」 「俺達は葵先輩に関係のない人間なんすか?」 「いや、そういうわけじゃねぇって。突っかかんな」 ほんのわずかな言葉のあやを詰ってくるあたり、二人も相当追い詰められているようだ。ツンと澄ました顔ばかりを見せる双子が今にも泣きそうな顔でこっちを見上げてくるのはどうも分が悪い。

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