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act.7昏迷ノスタルジア<202>*

「京ちゃん、やっぱり恥ずかしい」 足の付け根部分を啄ばみ始めると、布越しに葵から控えめな声が掛かった。ブランケットからわずかに覗く耳は、葵の訴えを裏付けるように真っ赤に染まっている。 葵の視界に入らずとも、京介に脚を広げられ、全てを晒していることには変わりない。葵もそれに気が付いたのだろう。 「やめたいってこと?」 葵には触れたい。でも葵が本気で嫌がることをしたいわけではない。だから京介は一旦手を止め、葵の意向を確認してやる。 すると、葵はおずおずと身を捩り、ソファにうつ伏せるような姿勢を取り始めた。仰向けよりはマシだと思ったのだろう。 「いやまぁ、なんとなく気持ちは分かるけどさ。これはこれで美味しいっつーのは分かんないもんかね」 確かに見える箇所は少なくなった。でも京介が侵略したくて堪らない部分はより無防備になった印象だ。パジャマの上着の裾を引っ張って、少しでも肌を隠そうとする仕草がいじらしくて可愛い。 腰だけを高く引き上げ、愛撫しやすい姿勢を取らせると、握りしめた葵の手が震える。 「葵、手どけて。邪魔」 促すように葵の華奢な指や手の甲にもキスをしてやると、少しずつ力が抜けていく。すると、彼が掴んでいた布も支えを失い、肌を滑り落ちていった。 「ねぇ、これ、やっぱり」 「もう駄目。お前の我儘いちいち聞いてたら埒明かねぇよ」 目の前で美味しそうなものを見せつけられて、これ以上耐えろというのは無理な話だ。葵の意見を却下し、京介は彼の腰を支えていた手を臀部へと滑らせた。 本当ならば、都古の謹慎中、時間をかけてここを割り開くつもりだった。葵が怖がらないよう丁寧に馴らし、そして抱く覚悟をしていた。それを台無しにされたことも、一ノ瀬への怒りを全く収められない理由の一つかもしれない。 「力抜けって。怖くねぇから」 柔らかな肌を割り開き、ほんのりと色づく部分に唇を当てると、葵の体が強張るのが分かる。 「じゃあ、こっちに集中してな。気持ちよくしてやっから」 前に片手を伸ばして、まだ勃ち上がり切っていないそこを握ってやると、葵の腰が大袈裟なくらい跳ねた。 「やぁ……あ、んっ」 「そう、そのまま大人しくしてろ」 京介の手の中に収まり切ってしまうサイズのものを、あくまで優しく擦り上げていく。激しく扱けば、力を抜かせるどころか、強すぎる刺激に怯えて逃げたがるのはわかっている。 心地よさを感じる程度にコントロールしてやると、京介の思惑通り、舌を這わせていた蕾が少しずつ緩んでいった。 前を弄る動きに合わせ、唾液を絡ませた舌をゆっくりと埋め込んでいく。舌先は比較的すんなりと飲み込んだものの、熱くひくつく粘膜はそれ以上の侵入を拒むようにきゅうと締め付けてくる。 まだここへの愛撫に慣れていない状態で怖い目に遭ったのだから、元々想定していたよりも更に根気が必要なのだろう。覚悟はしていたが、一ノ瀬への恨みは募る一方だ。

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