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act.7昏迷ノスタルジア<204>*

「ったく、ほんとに手掛かるなお前は」 呆れはするが、そういうところも可愛いと思ってしまうほど自分は葵に溺れている。 「落ち着け、馬鹿。安心しろって。ほら、これならいいだろ」 硬直する葵の体を抱き上げ、この部屋を訪れた時のように正面から向き合う形に戻すとしばらくぶりに葵と顔を見合わせることが出来た。京介の姿を確認して安堵でまた涙を零す葵に込み上げるのは愛しさ。 「……も、終わり?」 「まだ。つーか、この状態で兄貴んとこ戻れねぇだろ」 指摘するように二人の間で所在なさげに揺れる器官を突けば、葵は恥ずかしそうにしがみついてきた。 「でもこっちは終わりでいいよ。今日はな」 双丘の狭間に滑らせた指で蕾をなぞって告げると、葵はまたぴくんと体を跳ねさせた。 「またする、ってこと?」 「とりあえずは、あいつのこと思い出さなくなるまで」 そこがゴールではない。むしろその先が本来の目的だ。誰かに奪われる前に、この心も体も京介のものにする。 「葵」 名を呼び、頬に口付ければ、戸惑いながらも頷きが返ってきた。葵は京介が何を望んでいるかなんて正確に理解出来ていないだろう。それでも拒まず受け入れるのは、京介が離れていくことを恐れているからだ。 「……んっ、……あっ、あっ……」 慈しむように葵にキスを落としながら、中途半端なまま勃ち上がり刺激を待ち侘びるそこを扱いてやる。指で作った輪で根元から先端にかけて擦り上げ、先端の括れを時折強くこすると、鈴口がぱくりと開き、透明の雫が滲んだ。 “おまじない”では口淫してやるばかりで、こんな風に手で可愛がってやる機会は少なかった。葵にとってはあまり慣れた刺激ではないはずだ。 それに、心地よさに蕩けた目をする顔を間近で観察できる行為は、京介にもいつもとは違った興奮を与えてくれる。 「――――っ、あぁぁ……っ!」 敏感な葵が達するにはそれほど時間を要しなかった。甘い悲鳴を上げ、京介の手の平に欲を弾けさせた葵。そのまま意識を飛ばすことはなかったが、急速な眠気に襲われているのは見て取れた。 でも京介が葵の吐き出したものを躊躇いなく舐めとると、驚きで目を見開いた。 「なっ、今、京ちゃん、なんで」 「は?今更なんだよ」 ぱくぱくと唇を戦慄かせ、羞恥に頬を染める様には、京介だって驚かされる。葵の出したものを飲み込むなんて慣れすぎて、なんの抵抗もない。 「今更って……え、いつも……?」 「あぁ、分かってなかったのか。そりゃそうか」 “おまじない”は大抵葵が悪夢を見てぐずぐずに泣いている時にしているし、終わるなりすぐに眠り出す。京介の口に精液を吐き出している自覚すらなかったかもしれない。

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