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act.8月虹ワルツ<155>*

「もう一度練習してごらん。これからずっと誰かに頼むのなんて嫌だろ?」 遥は少し意地の悪い聞き方をした。いつでも甘やかしてあげたいのは山々なのだが、このレッスンを早く切り上げないと遥の理性が限界に達しそうだった。 葵は遥の事を信頼しきっている。大好きで居てくれているのも遥は知っている。だから、葵の右手を離せば、それが迷った末にどこに向かうのかも分かりきっていた。 「いいよ、またぎゅってしてな。見守っててあげるから」 くちゅりとタオルケットの中から音が漏れ聞こえたのを合図に、遥はまた葵を抱きしめて先を促した。 葵のあの無垢な手が勃ち上がったものを弄って、その度に遥が支えている腰がびくびく震えているのだと思うと無性に愛おしい気持ちが溢れる。また少しずつ荒くなっていく吐息も、徐々にずれ落ちていくタオルケットから覗き始めた白い脚も、遥をいたずらに煽っていくだけだ。 自慰すら教えられず、ただ訳もわからぬまま周囲から愛撫を与えられてきた葵なら、今この状況すらまともに理解出来てはいないのだろうと思う。そんな葵に手を出すのは人でなしだとも思う。 だからいつも交わしているキスは許容範囲として、それ以上の事をするつもりも、火照った体を覗き見るつもりもなかったというのに。 とうとう葵の全身を隠していたタオルケットがずるりとベッドの下へと落っこちてしまってからは、自分を抑えていたネジがまた少し緩んでしまったように遥は感じた。 シャツの裾からちらりと覗く桃色。幼いながらしっかり勃ち上がって存在を主張しているそれは葵の右手に優しく包まれていた。先っぽの部分しか遥からは見えないが、鈴口からとぷとぷと透明の蜜が溢れ出る様子は何よりも厭らしく映った。 葵はタオルケットが落ちたことも気づかず蕩けているし、本当なら見て見ぬふりを決め込んでやらねばならないだろう。 しかし、遥はその光景を見て口を挟まずにはいられなかった。 「なぁ、葵ちゃん」 初めての自慰が拙いことは予期していたが、葵の行為はあまりにも幼すぎた。扱くとか、擦るとか、そんな言葉ではなく、撫でると言ったほうが正しい。それもゆっくりゆっくり、触れ上げる程度。 「それで気持ちいい?」 「ン…あッ……え?」 葵はまず遥に痴態を見られていたことに動揺して身を竦めた。でも体を隠すにはその遥に抱きつくほかない。 「ごめん、びっくりしたよな。でもそれじゃイケなくて辛いわけだ。良かった、原因が分かって」 「まちがってた?」 「うーん、可愛かったけど、すっごく焦らしてるように見えちゃうんだよな」 拾い上げたタオルケットを再び葵の体にかけてやりながら、遥は苦笑した。人にされたことを思い出してやれ、と言ったはずなのに。しかもあんな拙い愛撫であそこまで声を上げてよがるのも驚きだ。

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