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26、玩具②*

「ほら、挿れますから元に戻りなさい。」 パシリとお尻を叩かれ、渋々顔を膝へ戻す。 うぅ、何が悲しくてこんな赤ん坊みたいな体勢でそんなモノを挿れられなければならないのか。 ギュッとファサイル様の膝を握って耐えるしかない自分の境遇に泣きたくなる。 「ふっ……ぅう。」 プツリと先端が挿れられたその感触に、声を殺して身悶える。 丁寧に解されたお陰で痛みは無いが、やはり指とは違って冷たいし固いし、異物感が半端ない。 「力を抜きなさい。その方が痛くありませんから。」 「っなこと、言われても……。」 どうしたって緊張して力んでしまう。 ずっと肩に力が入ったままのラヒームを見て見てファサイルがこっそり笑う。 「ほら、呼吸して。…そう、息を吸って……ゆっくり吐く。」 ポン、と背中を撫でられ、それに合わせて息を吐く。 自然と力が抜かれていったその瞬間、ブスリと玩具が奥へ挿れられた。 「ひゃあぁっ!」 ビクンッと大きく背中を仰け反らせたラヒームをファサイルが無言で押さえつける。 「ん……最後まで入りましたよ。奥まで挿っているのが分かりますか?」 分かるも何も、限界だと思ってた更に奥まで開かれた恐怖を今正に生々しく感じているところだ。 「ひぁん!ちょ、動かさないでっ」 必死に動かさないように呼吸を止めているのに持ち手から動かすとか鬼なのかこの人は。 「返事をしないからでしょう?」 「分かってる、分かりますからぁっ!」 お願いだから動かすのやめて! ナカもだけど、外の突起のところ?が丁度会陰を刺激して辛すぎる。 体験してよく分かった……流石人体を熟知していらっしゃる御方が作っただけの事がある。 あの奇妙な形状はどうすれば快楽を与えられるのか、全て計算して作られているのだと。 「ではこのまま慣れるまで暫く待ちましょうか。リラックスしていて良いですよ。 「……。」 こんなモノ挿れたままでどうやってリラックスするんだ……。 そう思ったが、何かされるよりは百倍マシなので素直に頷く。 暫くは異物感が物凄くてモゾモゾと内腿を擦り合わせたりしていたが、スーハーと呼吸を繰り返していくうちにだいぶ落ち着いてきた。 しかし慣れてきたら慣れてきたで、周りが見えるようになってシーンとした部屋の空気に気まずくなる。 性玩具をお尻でくわえるという、とんでもなくマヌケな姿をずっと上から見られているのだと思うと居たたまれない。 「あ、あのっ、何か喋りません?」 「お喋りですか。別に構いませんが。」 取り敢えず言ってみたはものの、何喋ろう……。 「えーと、好きな食べ物ありますか?」 「そんな事知って楽しいですか?」 定番中の定番な質問に対してそんな事言われたら何も言えなくなるんですけど……。 「まあ、甘いモノなら大体何でも好きですよ。」 あ、答えてくれるんだ。 「へー、意外。ブラックコーヒー飲んでるイメージでした。」 「こういう仕事をしていると常に糖分不足なんですよ。」 あー、ストレス多そうだもんね。 でもこの人もスイーツとか食べるのか。 想像してみると可愛らしい。 「そういうお前は何が好きなんです?」 「あ、僕ですか?うーん、いっぱいあるんですけど強いて選ぶなら、やっぱりキュネフェかなぁ。」 麺状の小麦粉(カダイフ)に、村の牧羊で採れた新鮮なミルクで作ったバターとチーズをこれでもかっていうくらい混ぜて更にシロップ漬けでにして焼くお菓子のことだ。 焼きたてキュネフェはチーズがトロットロで、カイマックを添えたら無限に食べられるくらい美味しい。 「キュネフェですか。私はアイスを載せて食べるのが好きですね。」 「え、アイス?それやったことない!美味しそう!!」 アッツアツのキュネフェに冷たいアイスを添える……考えただけで涎が出てきた。 「では今度メイサに作らせましょうか。勿論アイスも一緒に。」 「ホント? やったあ……ぎゃぁ!」 嬉しくていつの間にか体を起こしてしまっていた。 おかげでせっかく慣れてきたエネマグラが中で動き、別の悲鳴が上がる。 忘れたワケじゃないけど、意識が薄れちゃってたかなぁ……。 「はぅっ……!」 今度は動かさないよう慎重に体を戻す。 「馬鹿ですねぇ。まぁ、慣れてきたという事でしょうから、続きをしましょうか。」 穏やかなひとときは、あっという間に終焉を迎えたようだ……。

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