「優しそうな先輩だったな」 「そうだね」 芹沢の言葉に頷いて、扉を閉める。 「小春も風呂行くよな？」 「う、うん……」 歯切れ悪く返事をし、芹沢に合わせて日和もバスタオルや下着を用意する。 寮生活だから、覚悟はしていたけれど。 一緒にお風呂……意識しない訳がない。 「小春？」 「あっ、今行く！」 準備を終えて、日和は芹沢と一緒に一階の大浴場へと向かった。 脱衣場には誰もいなかった。日和と芹沢以外に前のりしている一年生はいないということなのだろうか。 脱衣場で離れるのも不自然だろうと、日和は芹沢の横のロッカーで服を脱ぐ。掃除をしたからけっこう埃っぽくなっていた。 芹沢の方を見ると、Tシャツを脱ぎ終わり上半身裸になっていた。運動部に入ってたのだろうが、均整の取れた筋肉をしていて、二の腕も固そうだ。外気に触れて立ち上がっている乳首が小さくて可愛らしい…って、何を見てるんだ俺は！ 視線を反らし、一気に服を脱ぎ捨てる。大事なところはフェイスタオルで隠して、同じタイミングで着替え終わった芹沢と浴室に向かった。 「けっこう広いな」 ドアを開けて先に入った芹沢が声を上げた。続いて入り、湯気の中で目を凝らせば、確かに２０人くらいは一気に入れそうな、なかなかの広さだ。