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第13話
日和は枕元に置いたスマートフォンの振動で目が覚めた。母親からだ。
『今日は寮の説明とかがあるのよね?遅刻しないようにね。荷物とかは早めに片付けるのよ。』
過保護なメールに一応一言返信をし、体を起こす。
「小春、おはよう」
芹沢は既に起きていたようで、勉強机からこちらを振り返った。
「おはよう。早いんだね」
「もうけっこうな時間だぞ」
「うそ」
時刻を確認すると、8時。入寮式までは一時間ある。
「なんだ。まだ余裕だ」
「小春、朝弱い?」
「いつもけっこうギリギリ」
母親に起こされてるとは、気恥ずかしくて言わなかった。
ベッドから降りると、芹沢が制服に着替えていることに気付く。昨日はずっとジャージだったから、新鮮だ。
「今日って制服じゃないとだめなのかな」
「得に指定はなかったけど、念のため着替えてみたよ」
「じゃあ俺もそうしようかな」
グレーのブレザーに、学年別のグリーンのネクタイ。ジャージも格好よかったけれど、制服を着た芹沢も大人っぽくて良い。
無意識に見つめていたようで、芹沢は首を傾げた。それから、何か思い出したように、机からビニール袋を手に取引りこちらに近付く。
「これ、よかったら」
「?」
コンビニ袋の中には、色々なスイーツが入っていた。
「朝、ランニングのついでに買ってきたんだ。一緒食おう」
照れ臭そうに笑う芹沢に、日和は深く頷いた。
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