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第15話
30人ほどが集まり、入寮式が始まった。参加者は1年だけかと思っていたが、2、3年もけっこう出席しているようだ。
奥のキッチンの手前にある一段上のステージに、寮長が登壇する。
「おはようございます。寮長の朝倉です。」
よく通る声が食堂に響き渡る。3年生を現すブルータイをしている。短髪をワックスでセットしており、快活そうな青年だ。
「施設の説明や当番なんかは後からするので、まず一言だけ。ここ、専心寮は、何かに心を向けて努力できるように、と作られたとのことです。今年入寮する1年生たちにも、その何かを是非見つけてほしいと思います」
朝倉の言葉に、日和は胸が高鳴る。きっと勉強とか部活とか、社会に出た後に役立つこととか、そういう意味で言われたことなのだろうけど。日和の頭の中は、隣に座る芹沢との薔薇色の高校生活でいっぱいになっていた。隣の芹沢の表情が陰りを帯びていることには気付かずに……。
朝倉の挨拶が終わった後に、副寮長の柴咲が施設の説明に入った。柔らかな雰囲気の柴咲が副寮長ということを初めて知り、日和は驚いた。
大体は前もって受け取っていた資料と同じ内容だった。全入寮者は42名で、今年の入寮者は9人とのことだった。
一階には共同サロンもあり、夜九時までは勉強や打ち合わせなど、自由に使っていいとのことだった。
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