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第2話
寮の中は天井が高く吹き抜けになっており、仰々しいシャンデリアが取り付けられていた。
中央に全ての階へ通じる階段が配置されているようだ。管理人から受け取った鍵の番号を確認しながら、日和は階段を一歩ずつ上っていく。少し埃っぽいが、我慢できないほどではない。
寮は三階建てで、一階から三年生、二年生、一年生の部屋割りとなっている。
一階には他に、食堂や風呂、共有スペースなどがあるそうだ。
年々寮を利用する生徒は減っているようで、今年は全部で三十名程度、全校生徒の1割にも満たないとのこと。管理費などの都合から、廃止するかもしれないという噂もある。
日和も、実家から学園には通える距離ではあった。しかし、この高校に、そしてこの寮に入りたい理由が、彼にはあった。
「ここか」
312号室。
鍵を差し込んでみると、既に開いているようだ。
部屋の扉を緊張しながら開くと、こちらを振り向く人影と目が合ったーーー。
トクン、心臓が跳ね上がる。
「あ、同室の人?」
明るく軽やかな声と、冷たい外気が頬をくすぐる感覚にはっとして、日和はこくりと頷いた。
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