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第3話

「そっか、俺は芹沢薺。君は?」 芹沢と名乗った少年は、何枚か重ねられたタオルを持ちながら、日和の方に近づいてくる。 開け放たれた窓から吹く風に、カーテンがはためくのが視界に入った。 「小春日和」 日和がか細い声で答えると、芹沢は扉をぐいっと開き、固定した。 ぐっと近づいた体にどぎまぎとしてしまう。 「小春日和って、今日みたいな?あ、ごめん、なんか埃っぽいからさ、荷物整理しつつ掃除してたんだ」 肩をすくめて屈託なく笑う姿に、日和は緊張がほぐれていくのを感じた。 「面白い名前だろ?よくからかわれるんだ」 「可愛くていいじゃん。俺なんか、薺って、ペンペン草だぜ」 芹沢は軽い自虐と共に日和を部屋へと招き入れてくれた。 左手に二段ベッド、右手に勉強机が2つ並んで、部屋のほとんどを占領していた。芹沢の荷物はベッドの下に置いてあるが、どちらでも好きな方を使っていいから、と言われる。 布団は2つとも、畳んで日干ししてくれていたので、一旦は日和も下のベッドに荷物を置いて、部屋の掃除をすることにした。 日和は同室の芹沢がいい人そうでよかった、とほっとすると同時に、これからの生活に一抹の不安が過った。

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