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第5話

掃除が終わり、綺麗になった部屋を見渡して、二人は満足げに微笑んだ。 窓の外はオレンジ色の空が広がっている。 たっぷりと太陽を浴びた布団をベッドに敷いて、上下どちらのベッドを使うかという話題となった。 「芹沢が選んでいいよ?」 「俺はどっちでもいいから、小春が選んでよ」 お互いに譲り合ってしばらく経ち、このままだと埒が明かないと、日和は提案をした。 「じゃあさ、じゃんけんしよ。買った方が上で」 「おお、そうしようか」 芹沢も楽しそうに賛同してくれる。結果は、日和が見事二段ベッドの上を勝ち取った。 「小春って、兄弟とかいるの?」 日和が少ない荷物の整理をしていると、芹沢が勉強机から窓を眺めながら、言った。その横顔が落日の陰に寂しそうに映り、日和は何故だか胸がざわつくのを感じた。 「妹が一人いるよ」 「あ、やっぱり?しっかりしてる感じだよな」 「そうかな?けっこう子供っぽいって言われるけどな。芹沢は?なんか兄ちゃんぽいけど」 「俺は兄貴が一人」 「下なんだな。意外だ」 日和の言葉に、芹沢は困ったように笑う。少しの静寂にも耐えきれず、日和は立ち上がり、薄暗い空を目の端にとらえながら、窓際のカーテンを閉めた。 「今日は食堂やってないみたいだし、一緒に夕飯行かない?」 日和が誘うと、芹沢は快諾してくれた。

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