6 / 18

第6話

専心寮を出て、学園近くのファミレスに入ることにした。 簡単な自己紹介から、色々なことを話題に盛り上がる。今日会ったばかりなのを忘れるくらい、芹沢とは話しやすかった。 「小春は東京なんだな。通えるのにどうして寮に?」 芹沢の質問に、不純な動機を見透かされてるようで、緊張が走る。 「なんか寮生活って楽しそうじゃん?」 当たり障りのない返答をすると、特に不審には思われなかったようだ。 「確かに、な。俺、小春が同じ部屋でよかった」 真っ直ぐに見つめられ、日和は顔が熱くなるのを感じた。 「俺も……、最初、めちゃくちゃ不安だったけど、芹沢でよかったよ」 「ほんとに?よかった。これからもよろしくな」 芹沢が目を細めてにっこりと微笑む。日和はパタパタと熱い頬を扇ぎながら、何度も頷いた。 「てか、芹沢の方こそ、どうして紫水に来たんだ?実家京都って、遠いよな」 「ああ、それは……」 芹沢は目を泳がせて一度、メロンソーダを流し込む。どうやら甘党らしい。日和は、また余計な質問を返してしまったか?と不安になる。 「俺も小春と同じ。なんか憧れるよな、寮生活って。祖父母は東京だし」 「ああ、そうなんだ」 芹沢は鼻を掻きながら肩をすくめる。軽い調子の返答に、日和はほっと胸を撫で下ろした。

ともだちにシェアしよう!