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第7話

思い返すと、芹沢は話を振ってくれたり、日和がうまく答えられなくても変な空気にしないように、気を使ってくれている。 普段すぐに他人に心を開けない日和でも、芹沢と話をするのは楽しい。これから、お互いに気を使わず、もっと芹沢の素の部分を知っていきたいと思う。 メロンソーダの上にたっぷりと乗せたアイスクリームを美味しそうに食べる芹沢の様子に、くすりとしてしまう。 「芹沢って、甘いもの好き?」 「ああ、大好き。自分で作ったりする」 「ほんと?すげー」 もしかして、付き合いたてのカップルのデートってこんな感じ?……なわけないか。 日和は心の内で苦笑しながら、氷の溶けきった薄い紅茶を空にした。 店内はまばらで、部活帰りの学生もいた。同じ学園の生徒かもしれない。明日は入寮式で、明後日は入学式だ。 夢にまで見た学園生活。これからどうなっていくのだろう。 向かいに座る芹沢がこちらをじっと見つめていた。真っ直ぐな黒色の瞳に、日和は目を離せない。 「小春。どうかしたか?」 「いや、芹沢って、瞳真っ黒だな。髪もだし、色素濃いなーって」 気持ち悪いことを言ってしまったかな?と焦ったが、芹沢は気にしていないようだった。 「日本人だからな。小春は薄いよな。光に当たると、茶色いにも見える」 「そうなんだよ。純日本人なんだけどなあ」 唇を尖らせ答えれば、芹沢はからかうように笑う。 こんな風に笑いながら、高校生活を過ごせればいいな。日和は心の中で、そう願った。

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