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「ぁ、ぁッ」 湿ったシャツ越しに胸元を舐め回される。 三つ折に畳まれた蒲団の上に上半身を預けた僕は投げ出した下半身をもどかしげにしならせた。 すでに勃起していたペニスの先から茂みへと先走りが糸を引いている。 疎ましくも慣れ親しんだ臭気が漂って広くない一間に充満した。 閉め忘れた窓の向こうを気にかけるのはもう面倒臭かった。 深山木の頭が股間に沈み、音を立てて上下に動くと背筋に危うい震えが走った。 柔らかな口内でくすぐられると意識が飛びそうになる。 上下の唇による緩い締めつけが堪らない。 歯列で解されるとつい声が上擦った。 冷えていた皮膚が微熱を得て汗ばんでくる。 これ見よがしに濡らされる過程を噛み締め、身を捩じらせて、僕はその寸前の悶々とした感覚に喉を反らした。 「あ、もぉ……!」 目の前がぐらつく濃厚な眩暈に身を委ねて深山木の口内に欲望の飛沫をぶちまけた。 「はぁ……は……ッ」 窓の外で単調に続く雨音に鳥の囀りが時折紛れる。 血が騒々しく駆け巡るのを耳元で痛感しながら、それが飲み干される時の喉の動きを察して、ため息をついた。 「……また飲んだ? 吐き出していいって、そんなもの……」 口を拭って顔を上げた深山木に「おいしいよ、澄生の」と臆面もなく言われる。 僕は気恥ずかしさや後ろめたさを覚えてやや正気を取り戻し、不格好にずり下ろされていた服を手繰り寄せようとした。 「まだ勃ってる」 唾液と白濁で粘る、まだ萎えていない欲望が宿るそれに深山木が指先を添わせた。 絞り出すように握り込んでゆっくりと動かし、揉み解す。 「まだ出し足りなさそう」 割れ目に差し込まれた親指が溜まっていた雫をぞんざいに引っ掻き回した。 すると雫がさらに溢れ出て裏筋を潤した。 僕は喉を詰まらせて呻吟する。 深山木の顔がすぐそばに近づくと反射的に不要な力を込めて目を瞑った。 だが、二つの膨らみより下に伸ばされた深山木の手が窄まりにまで届き、慌てて目を見開いた。 「そこはいい!」 思いの外大声が出て自分でも驚いた。 藪から棒に拒否された深山木も呆気にとられている。 彼のそういった表情を目にするのは初めてだった。 怒ったかもしれない、と頭の中の危険信号が点滅した。 だけどこれは譲れない。 僕は投げ出していた両足を閉ざして一時停止に陥っている深山木に告げた。 「深山木、あの……そこはちょっと……怖いからさ。そこは触らなくていい」 深山木に自分の性欲を明かすようになっても、試してみたいなんて考えた事、一度もなかった。 「そっか」 深山木は別段怒らなかった。 普段と同じように自分と僕のペニスを片手で重ね合わせて、扱き、絶頂を目指した。 怒りっぽい奴かと思ってた……。 溺れるようなキスをされながら、ふやける意識の中、ふと僕は瞼の裏の闇に問いかけてみた。 深山木は男とした事があるのだろうか?

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