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6-7
乾いた手が片側の尻の肉を掴んだ。
横に持ち上げて、露になったそこを、滑る中指が押し開く。
強い締めつけに逆らって捩じり入れられ、尋常じゃない違和感と刺激に僕は声を上げた。
広げられる感覚に性感帯が反応する。
深山木の皮膚にわざと摩擦させるようにして全身を揺らした。
「あ、あ、ッ」
「……澄生、声、止まらないね」
深山木の長い指が浅く出し入れされる。
人差し指がさらに加わって普段は閉ざされたそこを拡張した。
「ねぇ、どこが一番いい? 教えて?」
反らされた指先が狭苦しい肉の中を掻く。
抜き差しの間隔が短くなり、次第に深さも増して、本当に声が止まらなくなった。
「どこ? ここ? この辺……?」
重なり合った二本の指がある箇所に届いて僕はつい仰け反った。
「ここ? ここがいい?」
敏感なところを集中的に苛まれる。
どうにかなってしまいそうだった。
恥ずかしげもなく腰を振って深山木の昂ぶりに自分のものを擦り合わせる。
手も伸ばし、熱く脈打つ僕と深山木のそれを掌で包み込んで激しく扱く。
三度目の吐精を僕達はほぼ同時に迎えた。
それでも僕達は足りなかった。
「深山木……お前の、挿れて……」
僕は深山木を求めた。
深山木も僕を求めた。
蒲団の上に仰向けになって、足を開いて、精液と唾液に濡れた深山木のペニスを自分の体に迎え入れた。
「あ……!」
最初に訪れたのは痛みだった。
指とは比べものにならない、身を裂かれるような鋭い刺激に一斉に汗が噴き出す。
ちょっとでもいいから紛らわせたくて、二の腕を噛んで必死で耐えた。
「力抜いて、澄生」
先端を呑み込ませた深山木が息を止めている僕に言う。
こんな痛みの中でどうやって力を抜けばいいのか。
僕は激痛を我慢するのに精一杯で首を左右に振る事しかできなかった。
深山木は途中まで昂ぶりを押し進めると、そこで前後にゆっくりと何度か動いた。
馴染ませようとする緩やかな動きに痛み以外のものがじわじわと生じてくる。
萎えていたペニスを握り込まれ、腰の動きに合わせて擦られると、電流じみたものが全身を駆け抜けた。
「ぁ……ん、ッ……ん」
深山木が動く度に声が洩れた。
徐々に奥を突かれるようになり、反復が速まる。
昂ぶりの全てが押し入れられた時には掠れた悲鳴が上がった。
腰に腰がぶつかって生温い白濁が肌に飛び散る。
荒々しさを帯びた呼吸が昼下がりの薄暗い離れに溶けていった。
「……はぁ……ッ」
急いた律動に突き動かされながら僕はその時の深山木の双眸を初めて目にした。
……ああ、お前って、そんな。
……熱に魘されてるみたいな理性が麻痺した目で僕に覆い被さってたんだ。
霞む思考の片隅で僕は無性に切なくなって深山木にしがみついた。
「ゆ……い、由、もっと……」
深山木は一瞬動きを止めて僕を覗き込んできた。
長い前髪の向こうで大きな目がより大きく見開かれている。
火照った体と同様に熱く浮かれた、欲望に忠実な眼差しだった。
「由、もっと奥まで……ッ……ッ……!!」
深山木は僕の首筋に噛みつくなり一心不乱に突き上げてきた。
幾度となく揺さぶられては絶頂の雫を注がれて。
切れ切れな呼号と共に僕も何度も達した。
その最中にわかった。
五月の放課後、深山木の双眸を最初に見た瞬間から世界は変わり始めていたんだって。
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