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第4話

僕が見惚れていると男性は柔らかく微笑んだ。 「忘れたのか?」 「忘れた?」 「まだ、小学生だったから仕方ない」 小学生? 「兄さん、久嗣(ひさつぐ)の友人でよく遊び来ていたのだ。覚えてないか?西門紘史(にしかどひろふみ)だ」 西門紘史。 あの紘兄ちゃんなの? 「紘兄ちゃん?」 「思い出したか?久しぶりだな暁斗」 「うん、うん紘兄ちゃん」 紘兄ちゃんは兄さんの幼馴染で大学を卒業したら家の後を継がないとダメだと海外に勉強しに行ってしまった。 あの頃の柔らかな雰囲気の紘兄ちゃんじゃなくて大人の男性。 「雰囲気が違うから分からなかったよ紘兄ちゃん」 「俺も色々とあったんだよ。これでも結婚していたんだ。もう2年前に別れた。子供も女の子が1人いる。」 「そ、そうなんだ。」 結婚していたと分かると胸の奥がチクチクと痛んでる気がする。 兄さんだって結婚して幸大がいるんだ紘兄ちゃんだって結婚して子供がいてもおかしくないのに嫌だと思う。 「そろそろ、病院に向かうか暁斗」 「あっ、うん。」 「少し落ち着いたみたいで良かった。」 「ありがとうございます。」 そう僕が笑うと紘史さんは頭を撫でながら微笑みかけてくれた。 兄さんが亡くなって幸大と2人でどうしたら良いか分からなくなって不安だった。 紘兄ちゃんが来てくれたから不安が少しだけなくなった気がする。 それと紘兄ちゃんを見ていると胸が騒ついて身体が熱くなる。 兄さんとは違う好きの感情。 紘兄ちゃんが家に来なくなってから気付いたけれどダメな感情だと押し殺して来た。 けれどやっぱり、僕は紘兄ちゃんが好きだ。

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