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第8話
そんな時だった家の電話が鳴り響いた。
誰かな?
家の電話が鳴る事が殆どなくて紘兄ちゃんだったら携帯電話に直接かけてくる。
「はい。もしもし」
「暁斗さんですか?谷島です」
「谷島さん、どうされたんですか?紘兄ちゃんと一緒に出張に行かれたんですよね」
「はい。今から谷山(たにやま)がお宅にお伺い致します。谷山と一緒に総合病院まで来て頂けますか?」
総合病院?
谷島さんは何を話してるの?
受話器を持ったまま固まっていると真理亜ちゃんが僕のシャツを引っ張り幸大がペチペチと足を叩いていた。
「分かりました。紘兄ちゃんに何かあったんですか?」
「私も詳しくは分かりませんが途中で倒れられたんです。今は診察中ですみません」
「ありがとうございます。すぐに準備をします」
僕は震える手で受話器を置くと真理亜ちゃんの頭を撫でて幸大を抱き上げた。
紘兄ちゃんは帰ってくると言った。
大丈夫。
そう言い聞かせながら無言で手際よく出かける準備をすると家から出て谷山さんを玄関先で待っていた。
その間は真理亜ちゃんも幸大も大人しくしていてくれて良い子に言うことを聞いてくれた。
真理亜ちゃんにはパパに会いに行くからねと言ったけどニコッと笑ってから話をしなくなったのだ。
「谷山です。暁斗さんですか?」
「はい」
「こちらです。お荷物お預かりします」
「ありがとうございます」
谷山さんに荷物を渡して車に近づくと後部座席と助手席にチャイルドシートが設置されていた。
助手席には真理亜ちゃんに座ってもらい後部座席には幸大と僕が座った。
きっと谷島さんが指示してくれたんだよね。
僕はそこまで考えてる余裕が無かった事にこの時気付いたのだ。
しっかりしろ暁斗!
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