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第12話
「参ったな、先に言われた。暁斗が受け入れてくれなかったらと怖くて言えなかったんだ」
「紘兄ちゃん、僕ね。ずっと、好きだったんだ」
「あまりそんな顔して言われるとキスだけじゃ済まなくなるぞ暁斗」
「いいよ、僕は紘兄ちゃんとしたい」
「知らないからな暁斗」
紘兄ちゃんの顔が近づいてきて僕はゆっくりと目を閉じる。
「愛してる暁斗。ずっと側にいろ」
僕の耳元で囁くとさっきよりも激しく舌を絡めお互いを求めた。
嬉しいよ紘兄ちゃん。
紘兄ちゃんの右手が僕のシャツをめくり上げて身体のラインをなぞる様に下から上がってくる。
ドキドキして僕の心臓がもたないかもしれない。
「うぎゃあぁぁ!!」
リビングのドアが開くと同時に幸大の泣き叫ぶ声が聞こえて来た。
「パパ、こうちゃんがなきやまない」
ドアを開けて開かない目をこすりながら真理亜ちゃんが立っている。
僕と紘兄ちゃんは慌てて離れると紘兄ちゃんは真理亜ちゃんを連れてリビングから出て行った。
僕は急いで乱れた服を整えると幸大のいる部屋へと向かった。
けれど部屋に入るとさっきまで激しく泣いていた幸大は気持ちよさそうに眠っている。
幸大の涙を拭い熱はないか紙オムツの確認などしたが大丈夫だった。
「暁斗、大丈夫か?」
「あっ、うん。熱とかないみたい。でもどうして泣いたのかな?」
「怖い夢でも見たんじゃないか?」
「そうかな?でも幸せそうに幸大が笑ってる。」
ベビーベッドで幸せそうに笑う幸大を見ながら僕達は顔を見合わせて微笑んだ。
悲しい事があったけれど僕は幸せになるよ兄さん。
そして紘兄ちゃんと2人で幸大を幸せにしてみせるから安心してね。
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