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拾ったモノは…④
帰社してもみんなに子犬のことで弄られ、それでもまあ大口の契約を取ったからよし と無罪放免早退を許可された。
この子をどうしようか。
一応ペット可のマンションだし、問題はない。
必要な物を買って…そうだ、何か食べさせなければ!
明日病院にも連れて行って診てもらおう。
ペットショップに立ち寄り、ゲージやら首輪やら、まず必要な物を買い込んで帰宅した。
懐から子犬を解放して床に下ろしてやると、ぶるぶるっと身体を震わせ目一杯伸びをして、うろうろとし始めた。
なかなか好奇心旺盛な子のようだ。
玄関先にどさりと荷物を降ろし、その中から急いでドッグフードと容器を取り出し、
「おーい、お腹空いただろ?おいでー」
呼ぶとトコトコとやってきて匂いを嗅ぐと、物凄い勢いで食いついた。
余程お腹が空いてたんだな、かわいそうに。
「お腹空いてたんだな、ごめんな、すぐに食わせてやれなくて…
でもさ、お前のお陰で商談成立したんだぜ。
ありがとうな。」
俺の言うことがわかるのか、小首を傾げた後、きゅんっ!と鳴いた。
「へぇ…お前、俺の言うことがわかるのか?
そっか…まあ、取り敢えず飯食えよ。
落ち着いたら風呂に入れてやるから。」
ポンポンと頭を撫でて、続きを食えと促すと、うれしそうにまた食べ始めた。
俺も今朝の残りのおにぎりで小腹を満たして、ちょっと一服した。
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