14 / 337
再会①
朝起きてもスッキリしなかった。
昨日まで手元にあったもふもふが忘れられない。
はぁーーーっ
テレビの音だけが響く部屋で、もそもそと一人で食べるご飯は味気ない。
シルバ、どうしてるんだろう。
ご飯、ちゃんと食べてるのかな。
いや、もう、俺には関係のないことだ。
手早く片付け家を出る準備をする。
あぁ、課長も寂しがるだろうなぁ。
「おはようございます…」
「シルバちゃーーーん!おっは…あれ?
シルバちゃん、どこ?カバンの中?おーい!」
俺に挨拶もせず俺の懐やカバンを弄り、シルバを探す課長…
その行動、イタイですよ…
「あー、すみません…夕べシルバの飼い主が見つかって、引き渡したんですよ。」
「えーーーっ!?そんなぁ…
今日はお散歩に連れて行ってあげようと思って、準備してきたのに…」
がっくりと項垂れた課長のデスクの上には…
リードに、フリフリのレースの付いた洋服。
あの取っ手の付いたバッグは、きっと粗相した時用のスコップやビニール袋、水の入ったペットボトルが入ってるんだろう。
あの柄、ペットショップで見たぞ。俺も買おうと思ったが、女の子が持つみたいだったし、スーパーの袋でいいかって止めたんだよな。
っていうか、アンタ大事な書類を横に放り投げて、お散歩グッズ広げ倒してるって、どうなん?
「課長、せっかくのご厚意が無駄になってすみません…」
「ちょっとトイレに行ってくる…」
あー、一人で泣いてくるのか。
既に背中が震えてる。そんなに楽しみにしてたのか?イタイ。イタすぎる。
ともだちにシェアしよう!