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再会⑤

無言のエレベーター内。 シルバは震えている。 叱られるのがわかってるんだろう。 よしよしと頭を撫でてやる。 とにかく見つかってよかった。 俺のマンションまで来るなんて、そんなに俺に会いたかったのか? 鍵を開け、リビングへ須崎さんを案内する。 震えるシルバをそっと手渡して、熱いお湯で絞ったタオルを準備すると、シルバの顔と手足を拭いてやった。 昼前からいなくなったってことは…お昼ご飯も食べてないはず。 探し回ってたであろう須崎さんも。 きっと喉も渇いてお腹も空いてるだろう。 何か簡単にできるものあっただろうか? ご飯は…冷凍してあるのがあったな。 作りすぎて冷凍してた餃子もあったはず。 グラスと、麦茶をボトルごと出して 「これ飲んで一服してて下さい。すぐ戻りますから。」 そう言い残し、キッチンに立つと大急ぎでレンジを駆使し、その間に卵スープを作り、餃子を焼いた。 たちまちいい匂いが部屋に充満する。 「残り物で悪いですけど、よかったら食べて下さい。 二人ともお昼食べてないでしょ? シルバ、人間に戻れるか? 洋服はないから…俺の服で我慢してくれ。」 Tシャツに半パン、新しいトランクスを持ってきて目の前に置いた。 ぶかぶかだけどしょうがない。 須崎さんの膝から飛び降りたシルバが徐々に姿を変えていく。 耳と尻尾を残したまま、子供に変わったシルバは俺の服に着替えた。 「ぶかぶか。ママの匂いがする。」

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