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口実④

決めちゃった。 気に入ってくれるといいんだけど。 後々残る物にしてよかったのかな。 すぐに消えてなくなってしまうものにすればよかったのかな。 ぼんやり考えながら、店内をうろうろと見て歩く。 「お待たせしました!」 店長が綺麗にラッピングされた紙袋を持ってきて、それをシンプルな店の紙バッグに入れてくれた。 「あ!ありがとう。」 「きっと喜んで下さいますよ。 私自慢のお品ですから! またお越し下さいね。お待ちしてます。 あ、これ、銀波君に。」 銀のリボンの付いた、濃いブルーの包み紙を渡された。 「これは?」 「銀波君に私からのプレゼントです。 これ似合いそうだなって思ったので、ついつい個人的に仕入れちゃって。 近々来店して下さるような気がしてたんです。 よかった、お会いできて。 着てもらえるとうれしいです。」 「え…そんな…いいんですか? うれしいな…遠慮なく。本当にありがとうございます!」 もう一度、ありがとう とお礼を言って店を出た。 なぜかうれしくて、スキップでもしたい気分だ。 銀波にまでプレゼントだなんて。 このシャツを着た葛西君を想像してみた。 あぁ、似合うな。 早く会いたい。 でも、それは…彼との別れの時。 会いたいけれども会ってしまうと、それで終わってしまう。 もう二度と会えなくなるけれど。 それでも終わりはきちんと。 俺は無理矢理自分を納得させて家路についた。

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