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嬉々哀々(ききあいあい)④

無邪気に甘える銀波を恨めしく見ているしかなかった。 確かに『甘えてもいい』と言ったのは俺だ。 沸々と嫉妬に似た黒い感情が胸に湧いてくる。 相手は子供だぞ? 俺の大切な甥っ子だぞ? 何動揺してるんだ… …俺だって、あの温もりを堪能して頭を撫でてもらいたい… えっ?今俺、何考えてた? ダメだ、ダメだ! ぶんぶんと頭を振って邪な考えを振り払っていると 「須崎さん?どうかしましたか?」 人型になった銀波を着替えさせてくれた葛西君が、不思議そうに俺を見ていた。 「あっ、えっ?いや、別に何でも… これ、忘れないうちに…銀波のために用意して下さった物の代金と…葛西君に似合いそうなシャツを見つけたので着てもらいたいなと思って。」 「えっ?ホントですか?代金はもうよかったのに…シャツまで? うれしいです!ありがとうございます!」 葛西君の後ろから顔を出していた銀波が、ニヤリと笑った。 この小悪魔め。 「お呼びした割には大したものではないんですけど…どうぞ!」 うおぉっ! テーブルには、唐揚げに春巻、サラダにチャーハンにエビチリ。 先日俺達ががっついて食べた餃子も並んでいる。 銀波は今にも飛びつきそうにキラキラ目を輝かせている。 「すごい…美味そう! 葛西君、これ、全部作ってくれたの? 俺達のために?」 「はい!この前、お腹空いてたせいもあったんでしょうけど、あんなに『餃子美味しい』って言って下さったんで… 今日は中華風にしてみました。」 えへへ…と笑う葛西君がかわいい! ごくんと唾を飲み込み 「あの…図々しいですが…早速頂いていいですか? 我慢できない…」 「もちろんです!あ、手を洗ってきて下さいね!」 俺と銀波は、我先に洗面所へ走って行った。

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