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胸に空いた隙間は⑦

ムカついたまま家に着き、ムカついたまま全てのことを済ませて、じんましんと闘いつつ布団に潜り込んだ。 こんな時に、シルバと須崎さんがいてくれたら… 叶わぬ夢を抱きながら、いつしか眠りについていた。 翌朝、出社した俺を待ち構えていたのは、憮然とした顔の営業の高木とドヤ顔の早瀬だった。 「おい、葛西!お前、昨日 早瀬さんにひどいこと言って傷付けたそうだな!」 正面玄関の、それも出社がピークの時間帯をワザと狙ってやってるのがバレバレ。 「はぁ?本当のこと言って何が悪い? そのせいで俺はじんましんが出て大変な目に合ったんだ! 傷付いたのは、俺の方だよっ! てか、何でお前がしゃしゃってくるの?」 相手の数倍デカイ声で応戦する。 俺達のバトルの様相に、何だ何だと足を止める人数が増えてきた。 「俺は彼女から相談されたから…とにかく、謝れよ!」 「はっきり言っておくが、俺は付き合ってもいない女にベタベタされる覚えもないし、そんなことされると、じんましんが出るんだよ! 会社出た途端に、腕を絡ませて胸を押し付けられて、そんなのセクハラじゃないか! 男がそんなことしたら大騒ぎになるのに、逆だと騒ぎにもならない。 けど、昨日のはまさにセクハラだっ! 訴えられないだけありがたいと思えよ。 男が誰でもそんなこと受け入れると思ったら大間違いだ。 俺が謝るどころか謝って欲しいくらいだよ。」 いいぞー!もっと言えー! 頑張れ!葛西っ! 勘違い女、帰れーっ! 高木、サイテー!! あちこちから聞こえる割れんばかりの拍手と野次におののいたのか、舌打ちをして二人は逃げて行った。

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