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あなたの本当の姿④

音を立てぬようにそっとドアを閉め、シルバを見ると… お腹が膨れてすっかり満足した様子だった。 部屋から出てきた俺を見つけると、飛びついてきた。 「ママっ!!」 「うおっと!シルバ、食べれたか?」 「うん!全部!すごく美味しかった! ママのご飯、大好き!ありがとう! …黒曜、大丈夫?」 「水も飲ませたし、しばらく様子見てみよう。 熱が高いから心配だし…今夜はここにいるよ。」 「ホント?ママ、いてくれるの? …よかった…僕、何もできなくて…それで…」 「俺に連絡でよかったのか? 婚約者…須崎さんの彼女を呼べばよかったんじゃないのか?」 「…そんな人、いないよ。」 「え?…でも、結婚するって…」 「…あれ、嘘だよ。 僕達に関わりすぎたら、ママが不幸になるからって。 僕、ママのことが大好き。黒曜も…大好きって言ってた。 大好きだから別れなくちゃって。 ママはこれから人間と恋愛して結婚して子供を作って幸せになるんだって。 僕達獣人と関わっちゃいけないって。」 え…どういうこと?嘘って!? 俺のこと…大好き!? 大好きだから別れる!? 「あっ!バラしたら黒曜に怒られちゃう! ママ、今言ったこと、忘れて!」 溢れる涙で目をウルウルさせながらシルバがオロオロしていた。 そんなシルバを抱き寄せると 「俺も、シルバと須崎さんが、大好きだよ。 だから…そんな気を使う必要はないんだ。 須崎さんが元気になったら、俺、ちゃんと話ししてみるよ。 教えてくれてありがとう、シルバ。」 シルバが物言わずぎゅっと力を込めて抱きついてきた。 その温もりを愛おしく思いながら背中を撫でていると、シルバは安心したのか眠ってしまった。 この子も心配で眠れていなかったのだろう。

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