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病み上がりの狼⑥

葛西君からの答えを待った。 振られるのはわかっている。 それならば、早く断ってくれ。 おそらくそれは数分…いや本当は数秒だったのかもしれないが、俺にとっては非常に長い時間に感じた。 俯く俺に、ふわりと温かなぬくもりが降ってきた。 驚いて固まる俺に、葛西君が抱きついたまま、耳元でささやいた。 「須崎さん…俺、俺… あなたのこと、諦めなくてもいいんですね? うれしい!…好きです、大好きです! …伝えたいこと一杯あるのに…あぁ、どうしよう。」 え?好きって?まさか…本当に? 断るんじゃなくって? 「…本当に?葛西君も、俺のこと…」 「はい、好きです、大好きです!」 「…俺、人狼だよ?」 「はい、狼になってもかっこいいです。」 「俺、男だけど。」 「はい、俺も男です。」 「子持ちだぞ?」 「わかってます。俺、もうママですから。」 「葛西君…君って…最高!!!」 ぎゅうっと抱きしめ合うと、葛西君からはシャンプーと玉子焼きのいい匂いがした。 細身の身体は折れてしまいそうで、慌てて腕の力を緩め、顔を合わせて見つめ合った。 「後悔しない?」 「するくらいなら…出会ってません。」 葛西君の唇に吸い付いた。 「んっ!んむっ…んっ!」 べろりと唇をひと舐めして、少し開いた隙間から舌を差し込むと、一瞬硬直した身体はすぐに弛緩し、俺を受け入れた。 じゅくっ、くちゅっ、くちゅっ 逃げる舌を追いかけ舌先で擦り上げ、戯れる。 上顎や頬の柔らかい肉を舌先で存分に愛撫すると、くぐもった声が喉の奥から聞こえる。 口の端から流れ落ちる唾液が胸元に零れ落ちるのも構わずにひたすらにその口内を責め立てた。

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