63 / 337
恋人①
晴れて恋人同士になった俺達は、うれしすぎて飛び回る銀波の相手をしながら、まったりと過ごした。
朝が遅かったため、昼を抜いて晩ご飯を早めに食べることにした。
午後から輝は張り切ってスーパーに買い物に行った。
俺はその隙にドラッグストアに走り、輝を愛するためのグッズを買い込んで帰宅し、素知らぬふりで輝を迎えた。
戦利品を両手にどっさりと買い込んで来た輝は、人型になり手伝いをしたがる銀波を助手に、俺のリクエストのハンバーグを作ってくれ、仲良く食卓を囲んだ。
「ママのごはん、美味しいねぇ。」
ご機嫌な銀波はいつも残す野菜もしっかり食べていた。
輝効果恐るべし。
「うん、美味いな。
こうやって輝の手料理を食べることができるなんて…何て幸せなんだろう…」
「大袈裟ですよ!
ほら、お代わりもあるからたくさん食べてね!」
人狼の俺に、こんな幸せな時間が過ごせるなんて、夢でしかなかった。
幸せ過ぎて、頭がどうにかなってしまいそうで、目尻に溜まった涙をそっと拭った。
『せめて片付けは俺が…』と言うのを輝は制し、『病み上がりだから』と無理矢理座らされ、そのお目付役の銀波を抱っこさせられた。
銀波がそっと耳打ちする。
「ねぇ、黒曜…」
「ん?何だ?」
「僕が寝てしまうまで、ママに側にいてほしいの。寝てしまったら、黒曜のところに行っていいから。
あ…明日の朝は邪魔しないからね。」
ゲホッ、ブフォッ
「銀波…お前、それどういう意味?」
「だって、結婚したら二人は一緒に寝るんでしょ?
ラブラブするんだよね?」
「誰から聞いたんだ、それ?」
「テレビで言ってた!」
はあっ…子供の教育上よろしくないものは流さないでくれ!
ともだちにシェアしよう!