73 / 337

恋人side:輝①

腰を引かれると、楔にたくさんの触手が纏わりつき、引き止めるような錯覚に陥る。 中の襞が吸い付いて離れない。 やだ…出て行かないで…俺の中にいて… 濡れた瞳が、溢れる吐息が、滲む汗が…黒曜さんを誘う。 皮膚の上を、彼の大きな手のひらが撫で摩っていく。 肌が触れ合うって、こんなに気持ちよくて、安心できるものなんだ。 唇が….身体のあちこちに落ちてきて、その度に ちゅっ という音と、小さな圧迫感に襲われる。 何だかくすぐったい。 視線を下ろすと、赤い斑点がいくつもできていた。 キスマーク! 途端に、ぼふっと音が出て火を噴きそうなくらいに真っ赤になった。 上目遣いで俺を見る黒曜さんと目が合った。 真っ赤になった顔を見られた! 恥ずかしい! 「輝…」 黒曜さんの顔が近付いてきた。 「…嫌か?」 即座に首を横に振る。 「…恥ずかしいだけ…です。」 喋ると、中の楔も一緒に動き震え、それだけで達しそうになる。 「輝…他の誰にも攫われないように、俺の所有の印を付けた。 薄くなったら、また付けてやるから。」 ずくっとお腹の奥が疼いて、きゅううっと収縮した。 それが、黒曜さんのものを締め付けたらしい。 「くっ、輝…少し緩めて…」 「そんなっ…俺、何もしてないっ」 狼狽える俺の頬を撫で、黒曜さんが言った。 「輝?いい子だ…一緒に…イくぞ…」 繋がったまま、胸の粒に吸い付かれた。 「ああっ」 口から溢れるのは黒曜さんを誘う甘い嬌声。 じゅぷじゅぷといやらしい音を立てる後口は白い泡が立っている。 腰が自然と黒曜さんの動きに合わせ揺れ始める。 「いい子だ…」とささやかれて、また胸の動悸が激しくなる。

ともだちにシェアしよう!