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新しい生活③

がちゃり という音で目が覚めた。 そっと寝室のドアが開かれ、中に入ってきたその人は俺の頭を愛おしそうに撫でていたが、胸元で眠るシルバに気が付くと 「チッ、銀波め…寝室は禁止だと言っておいたのに…」 とぶつぶつ言いながら、シルバを抱き上げると連れて行ってしまった。 間もなく戻ってくると 「ホント…油断も隙もありゃしない。」 そう言いながら俺の横に潜り込み、遠慮がちに抱きしめてきた。 「ただいま、輝…」 「お帰りなさい、黒曜さん。 荷物、すみません。ありがとうございます。 わかりましたか?」 「あぁ。すぐにわかったよ。 全部持ってきたから…気兼ねなくゆっくり休んでくれ。 俺のせいで…ごめんなさい。」 「そんな! 黒曜さんだけのせいじゃ…んっ」 唇を塞がれ、言葉が続かなくなった。 慈しむようなその動きに、胸がきゅうっと切なく疼く。 頭がぼおっとして、黒曜さんの胸元を掴む手の力も弱くなっていった。 最後にペロリと唇を舐めて離れていく熱を追うように、身体を寄せると 「輝…これ以上くっ付いてると、マジで抱き潰してしまう…湿布も買ってきたから、貼っておくよ。 …ちょっとごめん、裾、捲るよ。」 黒曜さんは すまなさそうに呟くと、俺のシャツの裾を捲ってペタペタと腰に湿布を貼ってくれた。 その冷たさに、うっ と唸り思わず身を竦めると 「あっ、悪い!ごめん、輝!」 と、ちょっぴり笑いながら服を戻し布団を掛けてくれた。 「ご飯もできてるんだが、起きれるか? ここに持ってくるから、待ってて…」 俺の返事も待たずに行ってしまった。 ゆっくりなら、何とか動ける。 明日は大丈夫だろうか。 ダメなら…有休?理由は? 『ヤり過ぎて動けません』シャレにならない。

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