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新しい生活⑨
俺は黒曜さんをまじまじと見つめてしまった。
「本当に?
俺が妊娠…出産…赤ちゃんが出来て産むんだ…
え…身体が替わるの?
でも病院は?どこで産むの?出生届は?」
黒曜さんは、矢継ぎ早にまくし立てる俺の頬を優しく撫でると
「心配いらない。
ちゃんと水面下で全部バックアップしてくれる俺達の組織があるんだ。
だから、体的なことも書類上のことも、大丈夫だ。
…俺達の子供を産んでくれるのか?
そこまでして…俺のことを思ってくれてるのか?」
「だって…好きになってしまったものはどうしようもないです!
シルバに兄弟ができたら…ヤキモチ焼くかな…
ふふっ。」
「輝…君は、何てステキなんだ!」
また強く抱きしめられた。
少し苦しいくらいに。
ふわりとスパイシーな香りが鼻孔を擽り、身体がぶるっと震えた。
「本当に…本当に後悔しない?
輝は、それでいいのか?」
「だって…本当に心から愛し合ったらそうなるんでしょう?
すごいじゃないですか!
何か…すごい…
俺、妊娠したら育児休暇取れるのかな…
いや、その前に寿退社!?
黒曜さん、俺、落ち着いたらパートで働きますから!」
「輝…君って人は…俺は、あり得ない常識外れなことを伝えてるんだよ!?
それなのに…どうしてそんなに柔軟に受け止めてくれるんだ!?
生活費のこととかは心配しなくていい。
俺一人の稼ぎで贅沢しなければ十分やっていけるんだ。
仕事を続けたいならもちろん協力する。
もし子供ができたら…銀波とその子の世話をお願いしたい。
あ…一番世話をしてほしいのは…俺だ。」
照れ臭そうに頭を掻きながら黒曜さんが言った。
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