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おばあちゃんは何者!?①

翌日腰を庇いながらも、何とか出社した俺は、その週の木金と二日間の、緊急有休申請をした。 中澤課長は 「…暇な時期だからな…まぁ、いいだろう。 他の奴らには大っぴらに言うなよ! みんなに申請出されても困るからな。 お土産よろしくねー。」 と拍子抜けするほどあっさりと許可が下りた。 「ありがとうございますっ!」 これで会社のことを気にせずに会いに行ける。 そうだ! 連絡を取ってみよう。 確か、電話番号の登録をしておいたはず… 誰もいない会議室に入った。 画面をタップして目当ての番号を探す。 あ…あった… 『葛西 (みやこ)』 緊張しながらも思い切って電話を掛けた。 トゥルルル トゥルルル トゥルルル 呼び出し音が続く。 15回鳴らし続けて切ろうとしたその時 「はい、もしもし、お待たせしました。 輝?どうしたの?何かあった?」 おばあちゃん! 「ご無沙汰してます!おばあちゃん! 俺は元気です!」 「あら、まぁ。輝、随分ご無沙汰ねぇ? 声は…元気そうね。」 「はい!お陰様で!」 「あなたから電話なんて珍しい…ひょっとして、お相手が見つかったのかしら?」 「おばあちゃん…何で?何でわかるの?」 「ふふっ。そりゃぁ…ねぇ。 で?いつ来るの?」 「今週の木曜日に。有休取れたから。 一緒に行きたいんだけど、いいかな? 子供も…子連れなんだけど…」 「あらあら…じゃあ、こっちに来た時にゆっくり聞くわね。 武志達は知ってるの?」 「…まだ。おばあちゃんに言うのが初めて。 黙っててほしいんだ。」 「…そう。わかったわ。 うちに泊まるといいから、お泊まりの準備してらっしゃい。 食べ物の好き嫌いはあるの?」 「ううん。大丈夫。」 「何時に来るの?」 「まだ決めてないんだ。」 「お昼ご飯用意しておくから、その頃いらっしゃい。待ってるわ。」 「ありがとう。じゃあ。また電話するね。」

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