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おばあちゃんは何者!?⑥
ぴこん
とケモ耳と尻尾が脱いだ反動で勢いよく跳ねて飛び出した。
しかし、耳は見事に伏せられ、尻尾は丸まって小さくなっている。
「大丈夫、怖くないよ。」
俺はシルバを抱き寄せて頭から背中を摩ってやった。
祖母は
「あらあら、怖がらせちゃったかしら…
銀波ちゃん、こっちに来て抱っこさせてちょうだい!
大丈夫よ、いらっしゃい…」
シルバは、柔らかな微笑みを浮かべる祖母と黒曜さんと俺の顔を交互に見て、恐々ながらも祖母の側に寄って行った。
ちょこんと膝に収まったシルバは少しだけ涙目だ。
「大丈夫よ。これからは、このおばあちゃんもあなたの味方だから。
頭を撫でてもいいかしら?…ありがとう。
ふふっ…かわいいわねぇ…また後で抱っこさせてね。
さぁ、お腹空いたでしょう?遠慮なく召し上がれ!」
その言葉にシルバが俺の元に飛んできて「いただきますっ!」と元気よく言うと、取り分けてあったおかずに被りついた。
「さぁ、あなた達も!」
「「いただきます!」」
何年振りかの祖母の味。
これを会得したくて一生懸命料理の特訓をした。
「美味しい…輝と同じ味だ…」
一口食べた黒曜さんが呟いた。
「まぁ、そう?よかったわねぇ、輝。
私直伝の味が受け継がれているなんて、とてもうれしいわ!
頑張った甲斐があったわね。
さあさあ、お代わりも沢山あるのよ。
銀波ちゃんも、一杯食べてね。」
「はいっ!」
シルバはさっきまでの泣きベソはどこへやら、耳を立て尻尾を左右に揺らしながら、口一杯に頬張って食べている。
黒曜さんは一口一口噛みしめるようにして、ゆっくりと味わいながら箸を進めていた。
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