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おばあちゃんは何者!?⑧

俺の隣では黒曜さんが目を見開いて呟いていた。 「輝が人狼の家系…?」 シルバは今朝早く起こされた上、長距離の疲れと満腹になったせいか、祖母に抱かれたまま いつの間にか ぐっすりと眠っていた。 祖母は馴れた手つきで、シルバをそっと並べた座布団の上に寝かせ、布団を掛けてくれた。 「葛西家はね、昔からなぜか人狼とご縁があって…その血は薄くなってはいるものの、時々銀波ちゃんみたいに耳や尻尾を持つ子が生まれてくるの。もちろん姿も変わる… そこは、ほら、そういう地下組織がちゃんとあるから、何も問題なく脈々と受け継がれ、普通に暮らしてきたのよ。」 「…だから『結婚を決めた人は必ず連れていらっしゃい』って言ってたの?」 「ええ。そうよ。…でも、あなたにはその心配はいらなかったみたいだけど。 ね?黒曜さん?」 「…はい。…俺も変化(へんげ)できます。」 「そうでしょ? きっと立派な狼の姿になるんでしょうね… 先立った主人も、それはそれはステキな銀狼だったのよ。」 ふふっと笑う祖母は、恋する乙女のようにキラキラと輝いていた。 「おじいちゃんが銀狼?」 俺はその時、体躯のいい、いつも穏やかでにこやかな祖父を思い出していた。 怒った姿を見たこともなかった。 頭が良くて、みんなから頼りにされていた優しい祖父だったが、十年程前に不運な交通事故で命を落としていたのだった。 「だからね、私はあなた達のことを否定したり反対することは、絶対にないのよ。 武志達もきっとそうだと思うわ。 私からも口添えするから大丈夫よ。 もし反対でもしたら、ただじゃおかないから。」 そうだった…父さん達は“この人”に頭が上がらないんだった…

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