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おばあちゃんは何者!?⑩

その後も俺達はいろんな話を聞いた。 人狼のこと、同じような仲間達のこと、地下組織のこと… これは黒曜さんも知らないことが数多くあり、祖母の言うことを一言も漏らすまいと、黒曜さんは必死で聞いていた。 それから祖母は、祖父や俺の子供の頃の写真を持ってきて、あれこれ説明しながら見せてくれた。 その中に一枚だけ、大きな銀色の狼と仲睦まじく寄り添う祖母の写真もあった。 「おばあちゃん、これ…おじいちゃん?」 祖母はその写真を受け取ると、愛おしそうに撫でながら 「そうよ。綺麗でかっこいいでしょ? 狼の姿の写真はこれだけ。 自動シャッターで撮ったから…ちょっとピンボケかしら。 この人の頭を撫でるのが大好きだったの。 …だからついつい銀波ちゃんの頭も撫でてしまうのよねぇ。」 その頃にはシルバは昼寝から目覚めて、もうすっかり祖母にも慣れて安心したのか、チビ狼になっても祖母の膝で丸くなり、大人しく頭を撫でられていた。 突然愛する人を失って、ずっと一人でここに暮らしている祖母の気持ちを思うと、泣きそうになった。 そんな俺を見て、黒曜さんはそっと俺の手を握ってくれていた。 晩ご飯はもちろん俺も手伝う。 また新しいレシピも教えてもらった。 帰ったら黒曜さんとシルバに食べてもらおう。 「「「いただきます!」」」 シルバは尻尾を振り、夢中で物も言わずにパクついている。 俺達は胸のつかえが取れて、ゆっくりと食事を楽しんだ。 片付けもさっさと済ませて、おやつに食べそびれたケーキを出してもらう。 シルバは目が輝いて、ケーキに釘付けで、これはやはり別腹と見えて完食していた。

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