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呑気な両親①

川の字に敷いてもらった布団に、シルバを真ん中にして寝転がった。 いつもは寝室が別だからシルバは余程うれしかったのか、チビ狼になってきゅうきゅう鳴いていたが、程なくその声は小さくなり、ぐっすりと眠ってしまった。 黒曜さんはシルバを圧迫しないように加減して、俺を抱き寄せた。 二人分の温もりが心地良い… 「輝に人狼の血が流れていたなんて…本当に驚いたよ…こんなことって、あるんだな…」 感慨深げに黒曜さんが呟いた。 「俺だってビックリですよ! 今まで誰もそんなこと言ったことなかったし。 …だから余計にあなたに惹かれたのかもしれませんね…」 黒曜さんは俺にキスをしながら 「浩司って…輝の兄弟か?」 「はい。五つ上の兄です。 俺と違って出来が良くて。今は都内にいます。 エリートコースの公務員ですよ。 それでも、俺はすごくかわいがってもらってた… 兄さんはこのこと知ってるんだろうか… ここ何年か会ってなくて。 おばあちゃんに聞きそびれてた。」 「明日またゆっくり聞くといい。」 「はい。」 「俺は…おばあさんに許しを得たことも、輝が俺と同じだったってことも…すごくうれしい。 もう、これで堂々と一緒に歩んでいけると思ったら…泣きそうだ。」 「黒曜さん…」 どちらからともなく近付く唇。 触れた先から熱を帯びていく。 シルバがいるのに。 おばあちゃん家なのに。 あぁ…この(ひと)と一生一緒に生きていける… 思いが高ぶり、涙が溢れる。 その涙を黒曜さんの唇に舐め取られていく。 「輝…泣くな…お前にはずっと笑顔でいてほしい…愛してるよ…」 コクコクと頷きながらも、その言葉にまた、涙が溢れた。

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