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呑気な両親②

黒曜さんの匂いに包まれて、ぐっすりと寝た俺は、窓から差し込む柔らかな光に起こされた。 ん…ここ…そうだ、おばあちゃん家だ。 今、何時? 微かに包丁の音がする。 そっと寝床を抜け出して、キッチンに向かうと、祖母が朝食の準備をしているところだった。 「おばあちゃん、おはよう。ごめんね、手伝うよ。」 「あら、輝、おはよう。休めたかしら? もっとゆっくりしてらっしゃい。 できたら起こしてあげるから。」 「もう、目が覚めちゃったよ。 何したらいい?」 「そう?じゃあ、そこのお皿にこれ、取り分けてちょうだい。」 二人で並んで準備をする。 そうだ!兄さんのこと聞いてみよう。 「ねぇ、おばあちゃん…兄さん、“あのこと”知ってるの?」 「ええ。知ってるわよ。」 ええっ!?何で? 何で兄さんが知ってて、俺が知らないの? 固まる俺に 「突然ね、耳が出ちゃったらしいの。 それでパニックになって私のところへ飛んできてね、あ、それは去年の話よ。 それでちゃんと説明したの。」 「兄さん、何て?」 「最初はショック受けてたけど…割と冷静に受け止めて…今はもう大丈夫よ。 すぐに輝にも伝えたかったみたいだけど…どう伝えればいいのかわからなかったのね。 あ、浩司も後で来るわよ。連絡しておいたから。 輝の結婚のこと、すごく喜んでたわ。」 「そうだったんだ…」 「きゅうんきゅうん!」 「おはようございます。すっかり寝坊しちゃって…すみません。」 「あ!シルバ、黒曜さん!おはよう!」 「おはよう! あら、二人とももう起きちゃったの?ゆっくりしてくれればいいのに。 まぁ、シルバちゃん!おばあちゃんのところにいらっしゃい!」 祖母はシルバを抱き上げると、もふもふの顔に頬ずりした。 シルバもうれしそうに尻尾を振っている。

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